プロ野球応援団員のある日常【平日のナイター遠征】

おはようございます、元応援団員のハルカです。


応援団員は、平日でもけっこう平気で遠征にでかけます。

(平気じゃないときもありますが、そこはやせ我慢です。)


では、平日のナイターで遠征しようと思ったら、どんな感じで動いているのでしょうか。

仕事の調整をするところから始まり、当日どういったスケジュールで過ごしているのか。

ファンの皆さんと共通する部分もあれば、応援団独特の動きを見せるときもあります。

応援団がどのように球場入りし、どのように球場を後にするのか、ひそかに気になっている方もいるのではないでしょうか。


そこで今回は、応援団の日常的光景である『平日のナイター遠征』を取り上げて、一日の様子を詳しく紹介してみたいと思います。




日程調整

まずは、社会人に欠かせない、『日程調整の段取り』から始まります。

仕事がある場合は仕事を休むための調整が必要だし、家庭がある場合は家庭を空けるための調整が必要になります。

野球観戦は今後もずっと続いて行くわけですから、毎回上手に段取りをしておかないと、今後の活動に支障がでます。


仕事を休むための調整

球場が近い地域であれば仕事を早退する道もありますが、場合によっては、朝から移動しないと間に合わない球場もあります。

仕事がうっかり長引いてもおもしろくないので、もう最初から休みを取っちゃいます。


平日18時からの試合だと、開門がだいたい16時。

その1時間前に来られる応援団員はかなり貴重な存在です。

せっかく仕事を休んだのだから、それより前に到着して、しっかりチームに貢献しておきたいものです。


王道の移動方法はクルマ

遠征の基本は、車です。

何人かで乗り合わせたら、かなり経済的に移動できますからね。

それに、応援団は荷物が多いので、なるべく球場の近くまで車でアプローチして荷物を楽に搬送したいという事情もあります。


ときには電車も使います。

電車といっても、特急券とは無縁の青春18切符を多用します。


飛行機や新幹線なんて贅沢は年に数回までです。

ラクしたい気持ちはありますが、長く応援活動を続けるために節約は欠かせません。

高速道路で何時間もかけて日本中をドライブすることに比べたら、あるいは東京・大阪間で数えきれないほどの駅に停車しながら鈍行に揺られて移動することと比べたら、エコノミークラスも、乗車率150%を超えるのぞみの自由席も、もう超絶快適すぎるトリップです。



球場到着 ~ 開門前

開門前から、すでに活動は始まっています。


開門前、少しずつ応援団が球場に集まり始めます。

応援団の挨拶は、芸能界とかと同じで「おはよう」です。

昼会っても夜会っても「おはようございます」「おう、おはよう」です。(後輩からの挨拶が基本)

他の応援団、相手チームの応援団、球場関係者など、必要に応じて挨拶周りなどもします。


開門前、ミーティングをします。

軽い打合せ程度のこともあれば、円陣を組んでめちゃくちゃ気合を入れることもあります。

これはチームによっても違います。

ミーティングが終わると、開門をひたすら待ちます。

球場によって多少の融通をしてくれる場所もありますが、開門まで球場内に入れないのは、応援団も一般ファンも変わりありません。


ちなみに、応援団はどこもみな揃いの法被なりシャツなりの恰好がありますが、球場の外ではそれを着ることはありません。

なので、この時点ではみな私服です。ほとんどの応援団員は、野球とまったく関係ない日常の恰好です。

楽器ケースを持っていなければ、まず応援団員には見えません。



開門 ~ 試合開始

次に、開門から試合開始前までの過ごし方を見て行きましょう。



入場後は応援活動のための準備

開門と同時に球場に入ります。

ひとことで入場と言っても、非常に多くの荷物を抱えているので、案外これらを運び入れるのは骨のあるひと仕事です。


入場したら速やかに応援エリアに向かいます。

自由席の場合は最低限応援活動ができるスペースを確保する必要がありましたが、指定席が主流になった昨今ではそれも無用になりました。

球場によっては、応援団専用のスペースが設けられているところもあります。


球場入りすると、旗を作ったりボードを並べたりと応援の準備をします。

応援団の恰好に着替えるのも、球場の中に入った後です。


鳴り物の音を出していいのは、決められたタイミングがあります。

旗もそこから振れます。

音出し解禁後、一斉にみんなでトランペットの音だし練習が始まります。

そうこうしている間にも、仕事を早く切り上げた応援団員たちが、徐々に集まってきます。


ミーティングと役割分担

他の会も合同で応援団全体のミーティングをします。

そこで注意事項とか今日の応援スタイルだとか役割分担だとかを確認します。

役割分担は、例えばメインリードの担当イニングの割り振りとかです。

初回、5回、7回、9回は〇〇会がメインリード(仕切り)、2回は△△会、3回と8回は・・・・みたいな感じです。


そのあと、応援団別に分かれてミーティングをします。

『うちの会は2回にメインリードをすることになっているから、それは××君がやろう』など、応援団内での役割分担が決まります。

メインリードと同様に、サブリード、太鼓、ボード、トランペット、旗振りなどそれぞれ誰がやるかの分担も決めます。

ちなみに、全ポジションをこなせる人もいますし、太鼓専門とか旗専門の人とかもいます。


スタメン発表と1-9

試合開始30分前くらいになってくると、スタメン発表があります。

スタメン発表は試合前で一番ワクワクするイベントなので、鳴り物を使ってファンのわくわく感をさらに高揚させます。

そのあと、1-9と呼ばれる、スタメン選手の応援歌の演奏があります。

これは、相手球団と被らないようにやります。原則はホーム側が優先です。


試合開始時はセレモニー。

球場によってはトランペットの本数制限があります。

同時に吹いていいのは何本まで、とかの決まりです。

当然、厳守です。

旗を振っていいタイミングや場所も球場ごとに決まりがあるので、それを間違えたら大問題です。



試合開始 ~ 試合終了

今度は試合開始から試合終了までの『試合中』の様子を見てみます。


試合中は、とにかくすべての瞬間において全身全霊をかけた応援です。

気の抜けた瞬間などありません。

のんびりプレーを観ることもなく、食事をとることもなく、ましてアルコールはもってのほかで、たまに水分とエネルギーの補給をする程度です。

水分補給はいつでもというわけにいかないのでタイミングを計る必要があるけど、夏場は各イニングの合間にしておかないと、冗談や誇張抜きで死に至ります。

トイレも隙を見て行きます。

トイレに行く以外、自分の応援エリアから離れることはほぼありません。

試合中盤くらいになってくると、自分の体力をときどき気遣ってやることも必要になります。

しかし、基本は『力の限り全力で応援する』ことが大命題です。


こうして、試合中の約3時間は、息つく間もなく過ぎていきます。

だいたい22時を過ぎると鳴り物応援は禁止されます。(球場によって異なります)

太鼓やトランペットが使えなくなると、肉声の応援のみになります。

こうなると応援を揃えるのが難しくなり、リードの腕がさらに問われることになります。




試合終了後

試合が終了しても、応援団としての活動はまだ続きます。


勝利チームは二次会を実施

試合が終了すると、勝った場合は二次会と呼ばれる催しが続きます。

活躍した選手を讃えたり、明日の勝利を願ったりする宴です。

仕切るのは、だいたい地元の応援団が多く、あとは応援団同士の力関係がモノを言います。


二次会では本日のスタメンの1-9を演奏するほか、チャンステーマや個人の応援歌を吹きます。

個人の応援歌は、その日活躍した選手がメインで、たまにケガからの復帰を目指す選手や一軍に上がったばかりの選手に激励の意味で応援歌を歌うこともあります。


試合に負けた場合や引き分けの場合は、今日の応援の御礼だけを手短にファンに伝え、応援団活動を終了します。

勝ったチームの二次会を邪魔しない配慮の意味も含まれています。


勝っても負けてもミーティング

すべての活動を終えたら、今度はミーティングです。

何事もやりっぱなしはよくないですからね。

反省点や改善事項があれば、容赦なく指摘されます。明日への課題を見出して、さらなる高みを目指します。


ミーティングは、球場内でやることもあれば球場外でやることもあります。

時間や場所の兼ね合いです。

球場の外に出るときは、当然私服に着替えたうえでの退場です。


その日の活動内容、参加人数、場所によってミーティングの所要時間や内容には濃淡があります。

パパッと簡単に終わらせることもあれば、長時間におよぶ大荒れのミーティングになることもあります。




球場を離れる

試合が終わって球場から離れた後も、応援団の活動はまだ終わっていません。


試合後は打ち上げ

球場を離れると、解散になります。

急いでいる団員は早々に引き上げます(事情によっては、試合中の早退もあります)。


特に急いでいない団員は、打ち上げでもしようかという流れになることが多いです。

みな疲れているし、お腹は空いているし、やりきったという達成感もあるし。


そしてだいたい近くの居酒屋とかファミレスとかに移動して英気を養います。

たまに関係者が付近にお店などを構えている場合があります。

そういう土地の場合はそのお店に集合することが多いです。


宿泊するか、帰宅するか

このあと、ホテルに泊まるかその日のうちに帰るかは、翌日のスケジュール次第です。

試合後の打ち上げに付き合うか、現地に宿泊するか、それを決めるのは自分だし、責任を取るのも自分です。


車を長距離走らせて帰るつもりなら、お酒は厳禁だし、早めに切り上げないと体力がもちません。

無理のない活動をしないと、長く続けられません。

こうした判断は団員が各自で行います。

その判断の責任を取るのも、自分自身です。


解散後、すみやかに自分の元の生活に戻るのが長く活動を続けるコツだと感じています。

体力、時間、お金は相当に消費していますが、それを翌日に持ち越さないことが大事です。


このようにして、ようやく平日のナイター遠征は終了します。




まとめ

平日のナイター遠征は、正直言うとかなりきついです。


仕事の都合がつくなら、連泊して観戦できたらラクです。

でも、身体はラクですが、仕事やお金はキツくなってきます。

どこかに無理は生じますが、なるべく無理を蓄積しないよう速やかにリカバリーすることが大事です。

『今の自分にできる、無理のない活動』をして、長く応援団活動を続ける工夫が必要になります。


以上、『プロ野球応援団員のある日常【平日のナイター遠征】』でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

応援団

Posted by ハルカ