応援団が厳しい理由5つ【知られざる鉄の掟の一部を大公開】

2021年9月3日

おはようございます、元応援団員のハルカです。


怖いイメージがつきものの応援団。

『気が荒い人が多そうで、失敗したらきつい叱責がありそう』と一般ファンからよく言われます。

また、『応援団員同士は固い結束があり、そのぶん厳しい掟も存在しそう』とも言われます。


応援団をするには、『お金がたくさんかかる』とか『時間をたくさん使う』という大変さももちろんあります。

ここでは、こうした応援団の厳しさというものに触れてみたいと思います。


実際に応援団は厳しいものなのでしょうか?

具体的に、厳しい理由を5つ紹介します。



応援団は厳しいか

応援団はけっこう厳しいです。

ある意味では仕事より過酷です。


企業に例えれば、サービス残業やパワハラが常態化した超ブラック企業並みです。

厳しい制約がたくさんあるなかで、執拗にからんでくる悪質なファンを躱しながら、全身全霊をかけて最大のパフォーマンスで応援することが求められます。

試合前から相当な緊張感があるし、試合中は全力疾走する感じで、試合が終わった頃にはもうグッタリです。

日頃からおのおのがレベルアップしておかないと、応援団として活躍なんてできません。


応援団が厳しい理由は大きく5つあります。

いくつか見ていきましょう。


厳しい理由1 超体育会系の人間関係

まず、応援団が厳しい理由の一つとして、超体育会系の人間関係が挙げられます。

どこの組織でも大なり小なり人間関係に気をつかうものですが、応援団の人間関係の厳しさは、昭和の体育会を思わせる苛烈な内容を含んでいます。


応援団は体育会系の体質

チームにもよるけど、応援団は体育会系の体質が基本です。

このノリについていけない人は難しいでしょう。

上下関係が厳しく、礼儀や挨拶が重んじられます。


先輩後輩の関係は絶対です。

序列は団体によって違いますが、年齢よりも年数を大事にする傾向があります。

応援団内での序列が低ければ、ふつうに年下にアゴで使われることもざらです。


つまり、入ったばかりの50代のおじさんより、団員歴2年の高校生の方が先輩ということになります。

ふだんママチャリに乗って高校に通うハナタレのティーンエイジャーが、一流企業の役員さんにジュース買いに行かせるというとんでもないことが、応援団にとって日常的光景です。

入団するなら、少しでもお早めに。


また、応援団員同士は親密な関係にあり、固い結束が見られます。

単なる趣味の仲間ではなく、プライベートに及ぶ家族的なつきあいをする人が多く見られます。

応援団同士の横のつながりも大事

応援団は横のつながりも大事にしているので、同じ球団を応援する別の会との関係をとても大切にします。

当然ですが、挨拶や礼儀などが不十分だったら、先輩から叩きのめされます。

また、応援団の組織としての序列もあるので、そういうことも頭に入れておく必要があります。

相手チームの応援団への礼儀

当然、相手チームの応援団とのコンタクトもあります。

ひと昔前は敵チームとはバチバチの関係で喧嘩状態になるようなこともよく見られましたが、今は表向きそういうことはありません。

けんかなどをしたら、両団体ともまちがいなく日本プロ野球機構から応援許可を取り上げられてしまうからです。

なので、敵チームの応援団と会ったら敬意と友情を示して挨拶するのは当たり前です。


一般ファンは、応援団同士はバチバチににらみ合うのでは、とわくわくしたりハラハラしたりしているかもしれませんが、予想に反して和やかな雰囲気が見られると思います。


腹の中でどう思っているかは人それぞれですが、つねに相手を敬う姿勢を徹底します。


また、通常は入場や試合前の1-9の演奏などはホームチームの応援団が優先です。


厳しい理由2 徹底された団体行動

次に挙げられるのが、徹底された団体行動です。

応援団は高度に組織化された活動をします。そのため、個の意思を封印して組織を優先することもザラです。

徹底された団体行動

まず、球場内では自分本位の行動は一切できません。

一般のファンであれば、自分が好きなタイミングで応援して、好きなタイミングでビールを飲めます。

喫煙所で煙草も吸えるし、お腹が空いたら売店に行けるし、トイレだって自由に行けます。

ちょっと休みたいときや乗り気のしないイニングでは応援せずにボーッと座って観戦することも可能です。


一方、応援団員は基本的に勝手な行動は許されません。


スタンドにいる限り、精いっぱいの応援が義務付けられています。

応援団員が応援席にいながら攻撃中にボーッとしているということも許されません。

応援団は、応援をすることを前提に、他の人には許可されていない楽器類を持ち込み、他の人より優先してチケットを販売してもらっていて、球場によっては応援団専用の座席やスペースを与えられています。

それだけ特別扱いをされているのに、応援行為を果たさなかったら、もう許可されることはなくなってしまいます。

攻撃中はもちろん、守備でピンチになったときなどは、ファンの先頭に立って応援しなければいけません。

どんなに苦しい試合展開になっても、どんなに悪天候に見舞われても、つねに全力で応援する姿勢を見せなければいけません。

それが、特別応援を許可された者の『特権』であり『義務』でもあります。

厳しい行動制限

応援団が歩けるエリアも決まっています。

相手チームの外野スタンドに行くなどはもってのほかです。

どうしても許可されているエリア外に行く必要があるときは、応援団の正装を解いて、ふつうの恰好をしていく必要があります。


試合前には定期的にミーティングやイベントがあるし、試合中も展開次第でいつ役割が回ってくるかわかりません。

トイレや水分補給は守備が始まったときに速やかに行います。

喫煙もそのタイミングでできるけど、団員歴が浅いと、たばこなんて吸っている場合ではないです。食事も、空いたときにゼリーやむすびなどでパパッと食べる感じです。

飲食は、摂りすぎるとそのあとで大声を出したりラッパ吹いたりしにくくなるという事情もあります。

飲酒は絶対できません。


だから、応援団員は球場内では必死です。開門して球場入りしたときから試合終了後までずっと気が抜けません。試合後のミーティングが終わったら、ようやく一息つける感じです。

厳しい理由3 規程の遵守

プロ野球には、試合観戦にあたって約款があります。

応援団の活動は、この定めを遵守したうえで行います。

許可された範囲内での活動

応援団は、日本プロ野球機構から許しを得て活動しています。

当然、日本プロ野球機構が定めたルールを遵守する必要があります。

球場の中はもちろん、外でもトラブルは無用です。


チケットの転売もできません。

これは、野球に限らず映画や芝居も含むすべての興行においてです。

そこに利益があるとかないとかの問題ではありません。


SNSなどへの投稿もNGです。

これは許可規程にはありませんが、トラブルを防止するために各応援団が独自で団員に指示しています。

団員個人がSNSに発信したその不用意な一言や動画が、どんなトラブルを生むかわからないからです。


厳しい理由4 ファンから高いクオリティが求められる

応援団は、ファンから高いクオリティを期待されています。

もちろん光栄なことですが、その期待に応えることはそう容易なことではありません。

ファンは応援団員を見ている

ファンの視線は要注意です。

トランペットがうまく吹けないとか、リードで失敗した様子を撮られて、動画をネットにアップされるなんてのは当たり前です。

それで恥ずかしい思いをしないためにも、球場では気が全く抜けないです。


また、応援団員が特別応援許可規程に抵触するような行為をしていないか、熱心に監視しているファンもいるようです。

僕は心当たりがまったくないけど、それでも痛くもない腹を探られるような行為は気持ちのいいものではないです。

ファンが求めるレベルは高い

年間数十試合単位で球場に足を運ぶファンの中には、応援団員よりも観戦試合数が多かったり、ファン歴が長かったり、選手、チーム、そして野球そのものをよく知っていたりすることがあります。

いきおい、「ただの趣味」でやっている応援団に、プロのパフォーマーのような高い水準を要求しがちになります。

応援団員の立場からすると、こうしたハードルは大きな心理的負担になります。

これに応えようと思ったら、かなりの練習が必要になります。

となると、もはや趣味の域を超えて応援団をライフワークの中心にしないとできません。

人生を賭けてないとできないレベルです。


厳しい理由5 時間やお金の捻出がむつかしい

応援活動には多くの時間とお金が必要になります。

応援団活動と社会人生活、漠然と過ごしていたら、まず両立できないほどの厳しさです。

多くの応援団員がこの壁に悩まされています。

経済力がないと応援団は続けられない

別の記事でも書きましたが、応援団はボランティアで活動しているので、活動を維持するには潤沢な資金が必要になります。

経済力がないと、立ち行かなくなってしまいます。

しかも、普通の会社員や公務員の場合、応援団をしていると仕事に支障が出まくります。

そのため、働き方や職種などをうまく調整する必要があります。


まとめ

思っていたとおり、応援団は厳しいです。

それは現実です。

だからこそ楽しく、やりがいがあるのかもしれません。


あんなに熱く打ち込めるものが生ぬるいサークル感覚だったら、きっとあそこまで気を張れません。

それに、この厳しさは軟派とかチャラいやつとかの中途半端な者を通さないフィルター的な役割もありそうで、ふるいにかけられてそれでも残って応援団をやっている者が、どうやら本物の熱い応援団員を名乗る資格がありそうです。


やせ我慢かもしれませんが、こうした厳しさがあってこそ、応援団員は命を燃やして応援活動に従事できると思います。


以上、『応援団が厳しい理由5つ【知られざる鉄の掟の一部を大公開】』でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

応援団

Posted by ハルカ