野球通に見えるフレーズ12選! これさえ知ればすぐに通の仲間入り
どの業界にも『通っぽいフレーズ』というものが存在します。
初心者を卒業して中級者ともなってくると、ある程度レベルの高い用語や概念について話をしてみたくなるものです。
では、野球で「通」が使うフレーズはどのようなものがあるでしょうか。
俗語を使いこなせば通に見える
野球はスポーツの中でもルールが複雑で、難解な概念がいくつも存在します。
初心者にとっては『インフィールドフライ』を理解するのは大変です。
『ボーク』の要件をすべて説明するのは、経験者でも難しいものです。
でも、インフィールドフライやボークという単語そのものに、通っぽさは正直感じません。
それよりも僕が考える『通っぽいフレーズ』は、『ルールブックに載っていない単語だけど、業界で使われている用語』です。
いわゆる俗語です。
俗語を使いこなせば、通に見えます。
ちなみに
各項の説明を読んでいて、わからない野球用語とかわからない概念が出てきたら。。。
それはもしかしたら、『まだ中級者には早い!』ということかもしれません。(失礼!笑)
野球は本当にルールが複雑なので、焦らず少しずつ押さえていけば大丈夫です。
野球通に見えるフレーズ
では、通に見えるおススメの俗語にはどんなものがあるか、紹介してみましょう。
球団の数に合わせて、12通り紹介してみたいと思います。
ゴロゴー
『ゴロゴー』は、『ゴロが転がったらとにかく突っ込め!』という作戦です。
ほぼ、三塁ランナーの本塁突入を指します。
似た概念で、『ギャンブルスタート』や『スイングゴー』があります。
通常、フォースプレーでないランナーは「進塁」か「とどまる」かの選択肢があります。
「ゴロゴー」は、そこから「とどまる」という選択肢を排除して、ゴロが転がったらとにかく突っ込ませます。
一見無謀にも見えますが、攻撃側に有利な側面もあります。
走者は「進塁」か「とどまる」か判断しなくていいので、より早くスタートが切れます。
きわどい場面では、わずかなスタートの早さが明暗を分けます。
当然、ゴロゴーの場面では守備側のプレッシャーは増します。
ちなみに、塁が埋まっているときはゴロゴーではありません。
満塁の場面で三塁走者が突っ込むのは単なるフォースプレーであって、ベンチの指示や作戦ではありません。
初心者の方には丁寧じゃない説明になりました。
『そもそもフォースプレーってなんじゃい』っていう方もおられると思います。
ゴロゴーは別の記事で詳しく紹介するので、そちらを参照ください。
歩かせる、歩かされる
相手にしたくない打者に対して四球を与える行為です。
この四球を『歩かせる(歩かされる)』という言葉で表現します。
主に、故意の場合を指します。
申告敬遠もあれば、敬遠気味の四球もあるし、ストライクで勝負せずに見送られたら四球でもいいやというケースもあります。
歩かせるということは、その打者と勝負をしなくても済む反面、わざわざ走者を増やすのでピンチ拡大でもあります。
ピンチ拡大してまで歩かせる理由としては、主に次の2つのパターンがあります。
・強打者など、どうしても相手にしたくない打者を迎えたとき
・フォースアウトにできない走者が塁上にいて、塁を埋めた方が守りやすいとき
このどちらか、あるいは両方を満たすケースでは、相手を歩かせるのは有効な戦術になります。
ちなみに、試合の流れとは関係なく、記録やタイトルを守るために歩かせることもあります。
ファンとしては残念に思う場面でもあります。
まあ、野球選手は個人成績でお金を稼いでいるわけですから、タイトルや記録を大事に守るのもやむを得ないとも考えられます。
プロ野球選手は、成績をシビアに評価される個人事業主ですからね。
インハイ
内角高めへの投球を指す言葉です。
それも、主に速球を指して言います。
インハイは、見せ球として使うことが多いです。
顔や身体の近くに投げ込むことで、「打者の感覚を狂わせる」「恐怖心を煽って踏み込みにくくする」という効果があります。
これが、その後の配球の伏線として活かされます。
インハイへの速球はかなり効果的な反面、多用すると相手チームの心象を悪くし、最悪は乱闘の要因にもなります。
また、報復行為として自軍の主力打者が同じように攻められるリスクもあります。
インハイとは逆に、アウトロー(外角低め)という言葉もあります。
こちらは打者にとって物理的に目も手も届きにくい位置なので、投手としてはアウトローをうまく使うことが打者を打ち取るポイントになります。
「遠く低く」というのは投球のセオリーでもあります。
インハイへの速球を見せておいてアウトローで勝負、というパターンは配球の鉄板ネタの一つです。
インハイへの速球を強く印象付けておいて、勝負球はアウトローで曲げるか落とすか、それとも速球を投げ込むか。
いずれにしても、インハイへの残像を大きく効かせることで、打者を打ち取りやすくできます。
643(ろく、よん、さん)
内野ゴロ併殺を表す言い方です。
数字はポジションを表しています。
1=ピッチャー 2=キャッチャー 3=ファースト 4=セカンド 5=サード 6=ショート 7=レフト 8=センター 9=ライト)
643はショートゴロをセカンドに転送して二塁でアウトを取り、さらにファーストに転送して一塁でダブルプレーということです。
ボールを触った野手の順に6(ショート)→4(セカンド)→3(ファースト)ということです。
内野併殺の組み合わせはたくさんありますが、もっとも代表的なのが643のパターンです。
同様に463、543、163、363などもよく使います。
4つ
本塁を4つ、三塁を3つ、二塁を2つと呼ぶと、競技経験者なのかなと思わせます。
先ほど643の項では「数字でポジションを表す」と説明しましたが、ここでの数字はベースを指しています。
攻撃側、守備側どちらの場面でも使います。
スミイチ
初回に1点入り、そのまま両者0行進のまま1-0のスコアで試合が終わることです。
0-0のまま試合が進み、最終回に1点取って1-0の場合はスミイチとは表現しません。
ちなみにスコアの話が出たので、ついでに触れたい話題があります。
『1対1』や『2対2』は同点ですが、『0対0』は同点ではありません。スコアレスです。
応援団でもたまに知らなくて、リードの口上などで恥をかいてしまうことがあります。
うっかり言いそうなので、僕も気をつけていました。
中6日
先発投手の登板間隔を指します。
数え方としては、単純に「投げていない日」の数を数えます。
火曜日に先発した投手が翌週の火曜日にまた先発すれば、間に6日(水、木、金、土、日、月)挟んでいるので中6日と表現します。
中5日、中4日のように日数に応じて数字が変化します。
感覚的に、中6日だと休養十分、中4日だとタイトなイメージがあります。
これとは別に、中継ぎ投手が何試合も連続で投げている場合、その数字を3連投、4連投と表現します。
3連投は、3試合連続で投げているという意味になります。
こちらは日数ではなく試合数で数えるのが通例です。
引っ張る
バッターが思い切り振り切って、右打者であれば左方向に強い打球を放つことを指します。
反対に、右打者が右方向に打った打球は『流す』と表現されます。
野球には、このような感覚的な言葉がしばしば見られます。
未経験者にはイメージしにくいかもしれませんが、経験者にとっては『そうとしか言えない』というような表現です。
「おっつける」「泳がされる」「差し込まれる」「詰まる」もそうした類の言葉でしょうか。
投手の「置きに行く」も、そうとしか表せられないような感覚ワードです。
そういえば、かつて僕が観戦した試合で、ストライクがまったく入らない投手がいました。
相手打者は打ち気がないのに、全然ストライクが入りません。
僕は思わず『置きに行け』と野次ってしまい、周囲から笑われたことがあります。
3タテ
3連戦で、一方のチームが3連勝することです。
2勝1敗と3勝0敗では、貯金やゲーム差にすると2つもの違いになります。
これは、大変な差になります。
3タテは双方にとってムードや勢いに大きな影響をもたらします。
3タテされると「苦手意識」だの「カモ」だの表現されて、余計に気が滅入ります。
追いタッチ
ランナーをタッチしてアウトにする時のタッチの仕方です。
ランナーの手や足ではなく、肩とか背中とかにタッチしてしまうようなタッチです。
わかりにくいので、もう少し詳しく正確に説明します。
ランナーは、ベースをゴールにしてやってきます。
タイミングが際どいときは、手か足のどちらかを先頭にしてスライディングします。
野手は、ベースで待ち構えておいて、その手か足にタッチすればアウトにできます。
少年時代、守るときはベースの先端にグラブを持って行けと僕も教わりました。
このとき、送球が逸れたりタイミングが間に合わなかったりすると、ランナーの手や足ではなく、肩とか背中とかにタッチしてしまうような格好になります。
こういうのを追いタッチと言います。
うーん、やっぱりわかりにくいですかね?
ようは、タッチが間に合ってなくてうまくできていない感じです。
コリジョンルールができてからは、本塁の攻防では追いタッチが激増しました。
その頃から急激に耳にする事が増えてきた気がします。
ブルドッグ
ブルドッグはバントシフトの一つで、高度な連携守備です。
ランナー一、二塁で相手が犠打を狙っている場合に使います。
ファーストとサードが、投球と同時(あるいはそれより前)に打者めがけて猛チャージします。
打者や二塁走者には大変なプレッシャーです。
このままだと三塁が空いて三盗されるので、ショートが三塁へ走ります。
同時にセカンドが一塁へ、センターが二塁へそれぞれ走り、各ベースをカバーします。
投球に合わせて5人の野手がダッシュするというダイナミックなプレーになります。
リスクの高い大技ですが、打者や二塁走者に相当な圧力をかけられます。
一、二塁の犠打はフォースプレーなので、それでなくても二塁走者にはかなりプレッシャーがかかります。
このため、往々にして二塁走者の飛び出しがあります。
それを狙った『ブルドッグを装ったピックオフプレー』というのもたまに見かけます。
年に何度もない大掛かりなプレーですが、プロらしい練度の高いフォーメーションは見ごたえ抜群です。
1ー9
応援団が使う業界用語です。
1番から9番までのスタメン選手の応援歌を、通しで一気に演奏することです。
最後に監督の応援歌を演奏するチームもあります。
また、パ・リーグでは先発投手を含めない場合がほとんどです。
試合前のスタメン発表後や、勝利したチームが二次会で使用します。
雨天などでゲームが中断したときに演奏することもあります。
横浜スタジアムでは、試合前の1-9のやり方が他球場と異なります。
通っぽく見えづらいフレーズ
ちなみに、俗語の中でも『最近浸透してきた用語』は「通らしさ」を出しづらい気がします。
・オープナー
・クオリティースタート
・フレーミング
・フライボール革命
・OPS
とかですかね。
初心者から出てこない言葉ではあるけど、新しすぎて「ミーハー感」が上回ってしまう感じがします。
そのためか、通っぽさは感じません。
参考までに、オープナーやOPSに関する記事を紹介します。
『オープナーとは? 先発投手の新概念! メリットとデメリットを解説』
『打率の計算方法は? OPSって何? 野球の指標の計算方法まとめ』
まとめ
どの業界にもある『通っぽいフレーズ』ですが、野球では上で挙げた12個がそれっぽい言葉と言えそうです。
こうした単語をサラっと織り交ぜると、『あ、このひと通だな』と感じさせます。
『通っぽいフレーズ』を活用して、もっと深く野球を楽しんでみてください。
以上、『野球通に見えるフレーズ12選! これさえ知ればすぐに通の仲間入り』でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。