プロ野球応援団員はどんな練習をしているのか? 秘密の一部を大公開

2021年10月31日

おはようございます、元応援団員のハルカです。


応援団のパフォーマンスは、高いレベルが求められます。

そのため、練習なしでは絶対にできません。

そうして技術を向上させることで、はじめて応援団として活躍できます。

当然、そのレベルを維持することも必要です。


では、具体的には、何をどんなふうに練習しているのでしょうか。


今日は、知られざる応援団の練習方法の一部を公開してみたいと思います。




応援団に必要なスキル

まずは、応援団に必要なスキルをピックアップしてみます。

『礼儀作法』などの社会性に関するスキルはいったん置いておいて、ここでは純粋に『応援団として必要なスキル』のみ取り上げます。


細かく挙げると他にもたくさんありますが、主なスキルは次のとおりです。

・トランペットの演奏力
・太鼓の演奏力
・リードの技術
・旗を振る技術

1つずつ見て行きましょう。


トランペットの演奏力

トランペットは、応援団の中でも花形の応援方法です。

一番目立つし、印象にも残ります。


逆に言えば、技術が未熟だとかなり目立ってしまいます。

誰がミスをしたかもバレバレだし、他球団の応援団とレベルの比較もされます。


トランペットの練習では、次の要素を意識しながら練習します。

・的確な音を出す
・大きな音を出す
・高音を出す
・長く音を出す
・試合終盤まで吹けるスタミナを維持する
・楽譜を暗譜する

これらの能力を身につけることが、練習の目的です。


太鼓の演奏力

太鼓は、応援団の役割の中で、ある意味もっとも重要な役割を担っています。


バンドをしたことがある人は知っていると思いますが、バンドで一番大事なのはリズム隊です。

ボーカルやギターより、重要度が高いです。

極論すれば、『パーカッションのレベルがそのバンドのレベル』になります。


応援団にも同じことが言えます。

一番大事なのは太鼓です。

メインリードやトランペットは確かに重要です。

しかし、仮にメインリードやトランペットが多少間違えても、めったにグダグダにはなりません。

一方、太鼓のレベルが低いと、応援はグダグダになりがちです。

そうなったら、どんなにリードやトランペットが上手でも、台無しです。


このため、太鼓の演奏には高いレベルが要求されます。

『叩くべきところで叩く』『叩くべきでないところで叩かない』というのが基本ですが、これを練習で徹底的に覚えます。

特に近年はどこの応援歌もリズムが複雑化してきているので、叩くタイミングがシビアになってきています。

スネアを使う応援団も増えてきました。


また、重要な要素として『テンポ』もあります。

次第にテンポが早くなる傾向の人が多いけど、常に一定のテンポで叩けるように練習します。

太鼓の演奏技術は簡単そうに見えてなかなか身につかないので、しつこいくらいの反復練習が必要になります。


リードの技術

リードは、メインで仕切る者と、それを補佐する役割の者がいます。


メインリードは、応援を指揮する立場にあるので、責任は重大です。

試合の流れを読まなくてはいけないし、その日のスタンドの空気も察する必要があります。

また、応援団員も、常にベストメンバーがいるわけではないので、『今いるメンバーでできうる最高の応援をしよう』と思ったら、どうやってリードを組み立てるべきなのかを考えないといけません。

たとえばですが、平日のビジターなんかだと、『トランペット担当が1人しかいない』なんて苦しい日もあります。

そんな日に、『チャンステーマを延々吹き続ける』なんて攻撃的な応援は展開できません。

トランペットを極力使わないような応援にもっていくようにします。


また、野球の知識も必要になります。

『投手コーチが何回マウンドに行ったら投手交代なのか』

『リクエスト検証中、もし判定が覆ったら事態はどのように変化するのか』

そんなことも知らず、的確なリードはできません。


加えて、応援のテンポも重要です。

遅すぎると間延びするけど、早すぎても他の団員や一般ファンがついてこられません。


あとは、『よくとおる声』とか『喉が枯れないスタミナ』も必要です。

生まれ持った素質もあるけど、練習でできるだけカバーします。


試合展開は目まぐるしく変わることが多く、メインリード担当者には臨機応変さが求められます。

しかし、自分の引き出しにないものは何も出てきません。

このため、メインリードの練習では様々な試合展開を想定して行います。

あとは先輩のメインリードを見てスキルを学び、二軍戦などでスキルアップしてから本番に臨みます。


旗を振る技術

旗を振るときに大事なことは、『振り方』と『タイミング』です。


振り方は、コツさえ掴めばそれほど難しくはありません。

何度も練習して、身体で覚えます。

球場の状況によって、大きく振れるときもあれば、コンパクトに振らないといけないときもあります。

また、強風に邪魔されることもあります。

この辺りを想定して練習します。


振り方を覚えたら、タイミングを計る練習をします。

タイミングはシチュエーション別にいろいろありますが、主に意識するのは『上げるべきときに素早く上げること』『降ろすべきとき速やかに降ろすこと』『仲間の別の旗と振り方を揃えること』の3点がメインです。

『仲間と揃えること』ですが、揃えるかどうかは球団によります。


あと、目立ちませんが『旗の降ろし方』も意外にテクニカルです。

次にまた降るときにスムーズに旗をあげられるよう、スタンバイ状態になるよう降ろします。




様々な練習方法

練習方法はいろいろあります。

大きく分けると、1人で行う『個人練習』、チームのメンバーと一緒に行う『合同練習』、そして二軍戦やオープン戦を利用した『実戦練習』があります。


個人練習

基本は、自分一人で行う『個人練習』に一番時間を割きます。

その気になれば毎日でもできます。


自宅でできる練習もたくさんあります。

トランペットは『ミュート器具』や『タオルをベルに突っ込む』など防音対策をすれば、自宅でできないこともありません。

太鼓を実際に家で叩くのは難しいでしょうが、リズムを取る練習なら、自分の膝を打ってでもできます。

旗を上げるタイミングを図ることもできるし、暗譜することもできます。

このように、自宅でできることはたくさんあります。


音が出る練習がどうしても自宅でできない場合、どこか人がいない場所でやります。

居住地域によってさまざまでしょうが、山奥とか海なんかが応援団員に好まれます。

あとは地下室とかライブハウスなんかを借り切る人もいます。


実戦の応援風景を動画で撮影するのも役に立ちます。

先輩が応援している様は参考になります。

また、自分が応援している姿を撮影してもらうのも、改善点がわかりやすくて有効です。


野球の知識を仕入れ、勉強することも大事です。

Youtubeなどで応援風景を閲覧し、上手い人のやり方を学ぶのも有効な練習方法です。


練習会

基本は個人練習ですが、定期的に練習会もやります。

練習会は、レベルアップを目指してやるときもあれば、勘を鈍らせないために適度にトランペットや太鼓に触れておく程度のこともあります。


実戦さながらの練習もします。


仲間同士でやるメリットはたくさんあります。

・モチベーションの向上
・修正箇所を指摘してもらう
・良い手本になってもらえる
・一人ではできない練習ができる
・仲間との親睦が深まる
・楽しい思い出ができる

練習会で課題が見つかれば、それをまた個人練習で改善させます。

次の目標が見つかればまた頑張れます。

この繰り返しにより、応援スキルを向上させていきます。


実戦での練習

プロ野球選手は、二軍戦で力を伸ばしたりアピールしたりします。

応援団にとっても、二軍戦は選手と同等の意義があります。

つまり、一軍でちゃんとした応援ができるように、それを練習したり調整したりする場として、二軍戦で応援活動を行うことがあります。


また、選手はオープン戦でシーズンの予行演習やアピールをします。

応援団も、やはりオープン戦でシーズンの予行演習をして、チームプレーや個人個人の調整とか確認を行います。

いつでも開幕できるように調整する場として、選手同様にオープン戦を活用します。



まとめ

応援団に必要なスキルと、その練習方法の一部を公開してみました。

応援団は注目されているし、高いパフォーマンスを要求されています。

そのため、日々の練習が欠かせません。

個人練習と合同練習を繰り返すことでスキルアップし、ファンのみんなに楽しんでもらえる応援を展開しています。


練習は苦しいときもあるけど、上達することは素直に嬉しいです。

今までできなかったことができるようになることは、とても自信がついて、前向きな気持ちになれます。

それに、できることが増えれば増えるほど、さらに応援団が楽しくなってきます。

試合でよいパフォーマンスができたときは、もう達成感でいっぱいになります。

そしてまた次の練習も頑張ってもっとうまくなろうという意欲もわいてきます。


以上、『プロ野球応援団員はどんな練習をしているのか? 秘密の一部を大公開』でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

応援団

Posted by ハルカ