プロ野球の個人タイトル一覧! 決定方法や時期など19の賞を解説

2022年1月23日

おはようございます、元応援団員のハルカです。


プロ野球には、様々な個人タイトルがあります。

投手、野手それぞれにいくつかの部門が設けられていて、毎年もっとも優秀な成績を収めた選手が『タイトルホルダー』として表彰されます。


シーズン終盤になると、順位争いとは別に、このタイトル争いも過熱してきて注目を集めるようになります。


このタイトルですが、遥か昔から続いている賞もあれば、近年になって新たに設けられたもの、基準が途中から変更になったものまで、様々あります。


中には「こんなタイトルがあるなんて知らなかった」というものもあれば、「そういう賞があることは知っているけど細かい基準がよくわからない」というものまで、様々あると思います。


その逆に、「あ、この項目で1位になってもタイトルにならないんだ」というカテゴリーもあります。


そこで、今回はプロ野球にはどんなタイトルがあるのか、それぞれ細かく見て行きたいと思います。

各タイトルの詳細を知ったうえで、白熱するタイトル争いの行方を見守りましょう。


ちなみに、各タイトルはそれぞれのリーグで争われます。

この記事で紹介するタイトルの中で、両リーグ合わせて一人しか選ばれないのは『沢村栄治賞』しかありません。

それ以外のタイトルは、セ・リーグの王者とパ・リーグの王者がいるわけです。

当然ですが、同一年でも、両リーグで争う水準が大きく異なることがけっこうあります。



打者のタイトル

まずは、打者のタイトルを見て行きましょう。

全部で6つのタイトルがあります。

このうちの『首位打者』『打点王』『本塁打王』の3つすべてを獲得した打者は、『三冠王』と呼ばれます。


首位打者

首位打者は、打率がもっとも高い選手が獲得するタイトルです。


打率が他のタイトルと比べて異質なのは『積み上げる』数字ではない点です。

ライバルとの差を埋める(拡げる)ために具体的にあとどの程度の成績を残せばいいのか、計算しないとわかりにくいという特質があります。

たとえばホームラン王争いだったら、自分がライバルに1本差で負けている場合、『相手を0本に抑えてこちらが2本打てば逆転』と簡単にわかります。

打率の場合、打数との兼ね合いがあります。1試合の打数は0~5程度と幅があるので、単純に安打の数だけでは計算できないという難しさがあり、どうしてもシミュレーションが複雑化します。


ちなみに、首位打者になるためには、『規定打席数』をクリアする必要があります。

規定打席数は、『試合数×3.1』と設定されています。

143試合の場合、規定打席数は443打席になります。

最終的に規定打席に到達していなくても、『規定打席への不足分をすべて凡打で換算し、それでもなお打率が一番高い』という場合は首位打者に認定されます。


なお、打数が少ないほど、1打席ごとの打率の変動は大きくなります。

一時の好・不調により、大幅に上がりもするし下がりもします。

首位打者争いでは、ライバルの中でも特に打数が少ない選手が要注意と言えます。


一般的に打率3割を超えれば優秀と言われています。

首位打者は、だいたい3割2分以上の水準で争われることが多いです。


打点王

打点王は、打点がもっとも多い選手が獲得するタイトルです。


野球は点取りゲームなので、打点や得点の多さは、そのままチームへの貢献度の高さを示していると言えます。

打点がつくのは、ホームランやタイムリーヒットだけではありません。

犠飛、スクイズ、満塁での押し出し四死球のほか、野選や内野ゴロの間の得点でも打点がつきます。

状況によっては敵失でも打点がつきますが、併殺打のときは打点になりません。


打点を伸ばせるかどうかは、本人の勝負強さに加えて、打順や前後の打者に左右されるところもあります。

打順の観点でいえば、どうしても三~六番あたりの打順が有利です。

前後の打者が優秀だと、それだけ打点を稼ぐチャンスが増えます。

前の打者の出塁率が高ければチャンスで打席を迎えることが増えますし、次の打者が強打者だったら自分が勝負を避けられる機会が減るからです。


一般的に、100打点を超えるとかなり勝負強い打者だとされます。

タイトル争いも、それくらいの水準で争われることが多いです。


本塁打王

本塁打王は、本塁打がもっとも多い選手が獲得するタイトルです。


本塁打は野球の華なので、本塁打が好きな人は多いです。

ファンはもちろん、選手の中にもけっこう多いです。

そのため、数あるタイトルの中でも『本塁打王』は特に注目度が高いと言えます。


本拠地の球場の広さに多少影響を受けるところがあります。

打点王と同様、次の打者が強打者であれば勝負を避けられることが少なくなって有利と言えます。


一般的に、30本を超えると一流の長距離打者だとされます。

タイトル争いも、30本後半から40本くらいの水準で争われることが多いです。


最多安打

最多安打は、安打数がもっとも多い選手が獲得するタイトルです。


他のタイトルと比べると、じゃっかん注目度が低いように感じます。

多く打席に立てる一番打者が有利と言えます。


個人的な考えですが、僕は四球を選ぶことにものすごく価値があると考えているので、最多安打より、『安打+四球』がもっとも多い打者の方が価値が高いような気はしています。

最多安打の選手をディスっているわけではないですが、安打数だけに目を向けても手放しに評価できないという気持ちはあります。

もちろん、安打を多く放つことは難しいことだし、重要なことでもあります。


一般的に、150安打を超えるとかなり安打を打っていると言えます。

タイトル争いは、だいたい170~180安打くらいで争われることが多いです。


盗塁王

盗塁王は、盗塁数がもっとも多い選手が獲得するタイトルです。

盗塁失敗数は、タイトル争いには考慮されません。


盗塁も、打順や前後の打者との兼ね合いで有利・不利があります。

打順の組み方にもよるけど、やっぱり一番打者が一番走りやすそうです。


一般的に、30盗塁を超えるとかなり走っているとされます。

タイトル争いの水準は年によってバラツキがあり、シーズン50盗塁を超える選手が現れる年もあります。


最高出塁率

最高出塁率は、出塁率がもっとも高い選手が獲得するタイトルです。


打率と同様に、規定打席数(試合数×3.1)をクリアした選手のみが対象となります。


個人的にかなり価値がある(ある意味首位打者以上の価値がある)と思っていますが、最多安打同様、このタイトルの注目度はあまり高くありません。


一般的に出塁率4割を超えれば優秀と言われています。

タイトル争いは、だいたい4割2分くらいの水準で争われることが多いです。


タイトルにならない記録

リーグ1位になっても、タイトルとして表彰されない記録もあります。

中には、たいへん価値があるものもあります。


たとえば『得点王』。

野球は点の取り合いをする競技なので、得点が多い選手には価値があります。

『得点』は、リーグ1位の選手をタイトルとして表彰していいくらい貢献度が高い数字です。

多い選手は年間の得点数が100を超えます。


ほかに、『犠打王』、『最多四球』、『最多勝利打点』、『最高OPS』なんてタイトルがあっても良さそうです。

どれも多ければ多いほどチームへの貢献度が高い記録です。


このほか、ふつうは表向きにならない数字ですが、『もっとも投手に多くの球数を投げさせた打者』というのも取り上げてみると面白そうです。

『最多球数打者』とでも言うのでしょうか。

『ボール球を見極める選球眼』『ファールで粘る技術』といった能力が高く、かつ献身的な面ももつ選手が戴冠しそうです。

もちろん、打者にはそれぞれ役割やタイプがあるので、早打ちが悪いというわけではありません。


一方、不名誉な記録として『三振王』や『失策王』が取り上げられることがあります。

これも正式なタイトルではなく、マスコミやファンがそう呼んでいるだけです。

1位になることが不名誉とは限らないと思いますが、これらが扱われる場合は批判や皮肉が込められていることがほとんどです。




投手のタイトル

次に、投手のタイトルを見て行きます。

投手にも全部で6つのタイトルがあります。

このうちの『最多勝』『最優秀防御率』『最多奪三振』の3つすべてを獲得した投手は、『投手三冠』と呼ばれます。


最多勝

最多勝は、勝利数がもっとも多い投手が獲得するタイトルです。


性質上、どうしても先発投手が勝利投手になることが多いので、リリーフが最多勝争いに加わるのは稀です。

ただ、近年は分業制によって先発投手に勝ち星がつかないケースが多くなっているので、今後はそうした分布に変化が現れるかもしれません。


2020年は試合数が少なく、2021年は引き分けが多いこともあって、ここ2年は各チームのトータルの勝利数が減っています。

それに伴ってタイトル争いの水準もやや低めになっています。

かつては15勝すれば堂々たるエースという感じでしたが、今は二けた勝利を挙げれば十分な感じがします。


最優秀防御率

最優秀防御率は、防御率がもっとも高い投手が獲得するタイトルです。


このタイトルも『打率』と同じように比率で計算する数字なので、ライバル選手との差を埋める(拡げる)ための具体的数字が見えづらい特徴があります。

打率との相違点もあります。

打率は『打数が増えずに安打数だけ増えることがない』のに対し、防御率の場合は『投球回数と自責点の片方が一定のまま、もう片方だけが増えることがある』という違いがあります。


また、比率で求める数字なので、打率同様『規定投球回数』が設けられています。

これをクリアした投手のみが、最優秀防御率の対象となります。

規定投球回数は、チームの試合数とそのままイコールです。

143試合の場合は143イニングスになります。


首位打者と違い、規定投球回数未満の選手が戴冠することはありません。

不足分のイニングを投げたと仮定した場合、何失点するのか、妥当な数字を算出できないためです。


一般的に、防御率2点台だと優秀とされます。

タイトル争いも、2点台前半くらいの水準で争われることが多いです。


最多奪三振

最多奪三振は、奪三振数がもっとも多い投手が獲得するタイトルです。


単純にイニング数が多い方が有利なので、先発投手の独壇場になります。


多い投手だと、200三振を超えることもあります。

タイトル争いは、そこまでいかず決着することが多いです。


最高勝率

最高勝率は、勝率がもっとも高い投手が獲得するタイトルです。

かつてはセとパで運用が違いましたが、2013年から統一されたタイトルになりました。

13勝以上の投手のみが対象となります。

(2020年は10勝以上に特別に変更)


比率で争うタイトルなので、勝利数でトップと引き離されていてもタイトルを獲得できます。

最高勝率のタイトルを戴冠するには『勝利数を増やすことより敗戦数を減らすこと』が重要になります。


最多セーブ

最多セーブは、セーブ数がもっとも多い投手が獲得するタイトルです。


かつては『最優秀救援』というタイトル名で『セーブポイント』を競っていましたが、2005年から現行のタイトルとなっています。

そのため、厳密には2004年以前の選手との単純比較ができません。


セーブは、おおざっぱに言えば『リードしている場面で登板し、そのリードを保ったまま試合を終える』ことで記録されます。


もう少し正確に書くと、こんな感じです。

次の3パターンのどれかを満たせば、セーブがつきます。

・1~3点リードしている場面で登板し、1イニング以上投げて、リードを保ったまま試合を終了させる。
・2者連続でホームランを打たれたら同点あるいは逆転される状況で登板し、リードを保ったまま試合を終了させる。(イニング数は1回未満でも可)
・3イニング以上投げて、リードを保ったまま試合を終了させる。(点差は4点以上でも可)

※ただし、上の条件を満たしていても、その投手が勝利投手になってしまったらセーブはつきません。


一般的に、30セーブを超えると優秀なストッパーと言われます。

タイトル争いも、それ以上の水準で争われることが多いです。


最優秀中継ぎ投手

最優秀中継ぎ投手は、ホールドポイントがもっとも多い投手が獲得するタイトルです。

他のタイトルに比べると歴史が浅く、認知度もそこまで高くありません。

このタイトルは、以前は両リーグで扱いが違いました。

セ・リーグは『リリーフポイント』、パ・リーグは『ホールド』数でタイトルを争っていました。これが、2005年から、両リーグとも現行のタイトルに統一されました。

このため、『最多セーブ』以上に、過去のタイトルホルダーとの成績比較ができません。


ホールドが記録される条件は、セーブと似ています。

おおざっぱに言えば『同点またはリードしている場面で登板し、その状態(同点またはリード)を保ったまま次の投手に交代する』ことで記録されます。

点差やイニングの細かい設定は、セーブの条件と同様です。

勝利投手にはホールドがつきません。これも、セーブと同じです。


セーブと違う点もいくつかあります。

まず、『次の投手に交代する』ことが条件の一つになっていることです。

つまり、交代完了(その試合の最後の投手)の場合はホールドが記録されません。

まあ、あくまで『中継ぎ』の記録なので、当たり前といえば当たり前です。交代完了したら、もはや『中継ぎ』ではなく『クローザー』になっちゃいます。


また、『降板後、自分が出した走者による失点で同点あるいは逆転されたらホールドが記録されない』という条件もあります。これも、セーブと違う点です。


さらに、『同点で登板してもホールドが記録される場合がある』ことも、セーブと違います。

ここでいう『同点』には、0-0のスコアも含みます。

同点で登板した場合は、相手にリードを許さず、同点を保ったまま降板することが条件です。


もう一つ違うのは、『セーブは1試合で1人しか記録されない』のに対し、『ホールドは条件を満たした投手全員に記録される』ことです。

チームの勝敗も関係ありません。

1試合に両チームあわせて10人にホールドがつくこともありえます。


おそらく、タイトルの中で『最優秀中継ぎ投手』がもっとも複雑でしょう。

ホールドの条件がややこしいからです。

一般的に、30ホールドポイントを超えると貢献度のかなり高いセットアッパーと言われます。

タイトルは40ホールドポイントを超えるくらいで争われます。


タイトルにならない記録

野手同様、投手にも「リーグ1位になってもタイトルとして表彰されない記録」があります。


たとえば『最多完投』。

投手の分業制がここまで進んでくると、完投がどこまで評価されるか正直わかりません。

それでも、1試合を一人で投げ抜くことは、価値の高いことだと思います。


同じようなニュアンスで『最多投球回数』があってもいいかもしれません。『K/BB』や『クオリティスタート』まで表彰していたら、タイトル過多でしょうか。

中継ぎ投手で言えば、『最多登板』も励みになりそうです。


また、今後もし『オープナー』という戦術が一般的になったとしたら、それをカウントする記録を新たに設けても良さそうです。


一方、不名誉な記録としては『最多敗戦数』『暴投王』などがやり玉にあげられることがあります。

このほか、与四球や与死球がもっとも多い投手が話題になることもあります。

いずれも正式なタイトルではありません。




投票で決まる各賞

成績で直接決まるタイトルではなく、第三者の評価によって決まる賞があります。

たとえば記者の投票で決まるベストナインとかゴールデングラブ賞などがそうです。


数字の比較と違い、どうしても投票者の主観が入ってしまいます。

このため、世間とか選手本人による評価と、実際の表彰者が食い違うこともあります。

『一部の記者は、自分が担当している球団の試合しか見ていないのでは』『そもそも野球の本質を理解していない記者もいるのでは』など、物議をかもすこともあります。


最優秀選手

最優秀選手は、そのシーズンでもっとも活躍した選手が選ばれます。

『MVP』と呼ばれています。

選手の最大の目標は『チームを勝たせること』なので、趣旨からいえば『優勝チームから選ばれるのが妥当』とされています。

その考えは、僕もまったく同意します。

どんなに凄い記録を打ち立てたとしても、それがチームを勝利させるものでないと、価値はなかなか上がりませんし。


MVPの選出に『波乱』はそうそう起こらないです。

優勝チームのなかで、もっとも優勝に貢献した選手。

どのシーズンでもだいたい候補は数人いるものですが、まあ誰もが納得する選手が選ばれているという印象です。


ベストナイン

ベストナインは、ポジションごとにいちばん優秀と思われる選手が選ばれる賞です。

パ・リーグは指名打者を含めるため、ナインと言いつつ10人選出されます。


基本は1ポジションに1人ですが、投票数が同数の場合、2人が受賞します。

外野手はなぜかひとくくりに『外野』とされているので、センターが3人選ばれることもあります。


難しいのは、単純な成績の比較ではなくて、印象も含まれていることです。

『優勝に貢献した選手』、『数字には残らない部分でインパクトの強い選手』あるいは『ネームバリューがある選手』が、どうしても選ばれがちです。


まあ、『数字より華やかさ』を求めるファンも多いので、そういうファンには納得する選手が選ばれているとも考えられます。


『得点』『勝利打点』『OPS』などのマニアックな数値は置いておいて、『とにかく派手な印象を残した選手』が選ばれる。

ある意味『プロ野球選手らしい賞』と言えるかもしれません。


ゴールデングラブ

ゴールデングラブは、ベストナインのように、ポジションごとにいちばん守備が優秀と思われる選手が選ばれる賞です。

『守備のベストナイン』とも呼ばれています。

賞の性質上、指名打者を含みません。


投票で決まる賞なので仕方ないですが、投票者の主観によってしばしば疑問が残る選手が選ばれることがあります。

打撃でのインパクトが強い選手、かつて名手として鳴らした選手が、そのままネームバリューで選ばれるような感じです。


守備は評価が難しく、失策数やレンジファクターだけでは比較できない部分があるのは間違いありません。

そのため、インパクトとか印象に左右されるのはある程度仕方ないかもしれません。


ただ、ベストナインに関して関係者が違和感を口にすることはほとんど聞きませんが、ゴールデングラブに関しては、選手やコーチなど関係者が首を傾けるような決着がままあるようです。


最優秀新人

最優秀新人は、もっとも優秀だった新人選手に贈られる賞です。

『新人王』と呼ばれています。


新人と言っても、厳密に1年目の選手だけが対象とは限りません。

新人王の有資格者
・海外のプロ野球の経験がないこと
・支配下登録されてから5年以内
・前年までの1軍での登板が30イニング以内(投手の場合)
・前年までの1軍での打席が60打席以内(野手の場合)


この賞の難しいところは、投手と野手など、まるっきりカテゴリーの違う選手を比較するところです。

2021年のセ・リーグの新人王の候補者は、『大卒1年目のレギュラー野手』が2人、『社会人出身1年目の抑え投手』に加えて『高卒3年目でローテーションに入った投手』など、まったくジャンルの異なる多様な選手たちが候補者として挙がっています。


出自もポジションも特徴もバラバラで、何を根拠に比較すればいいのか難しいところです。

誰が選ばれても納得といえば納得ですが、現時点(2021年10月6日)の印象から言えば『連続無安打』のワースト記録を更新した外野手は印象が悪くなり、『五輪でも抑えを務めたストッパー』が一歩リードしている気がします。

一方、もう一人の候補の野手もサイクルヒットを達成するなどのアピールを続けていて、最後までもつれそうな雰囲気があります。


最優秀バッテリー賞

最優秀バッテリー賞は、もっとも優秀なバッテリーを選出する賞です。

同一チームから投手1人、捕手1人が選ばれます。

バッテリーをセットで選ぶ賞なので、単体でどんなに突出した成績を残した投手(または捕手)でも選ばれない可能性があります。

だいたい先発投手が選ばれますが、セットアッパーやクローザーが選ばれたこともあります。


この最優秀バッテリー賞は、日本野球機構が主催する表彰ではないようです。


沢村栄治賞

その年もっとも活躍した『完投型先発投手』を対象として贈られる特別賞です。

『沢村賞』と呼ばれています。

両リーグからたった1人しか選ばれません。(かつてはセ・リーグのみが対象という乱暴な設定がありました)


選考基準は全部で7項目。

ただし、7項目すべてをクリアしなくてはいけないことはないようです。

近年ではそんなことしたら毎年『該当なし』になってしまいますし。

沢村賞の選考基準

・登板数 25以上
・完投数 10以上
・勝利数 15勝以上
・勝率  6割以上
・投球回数 200回以上
・奪三振 150以上
・防御率 2.50以下


完投10、投球回数200は、いまの野球界ではそうとう困難ですね。

15勝以上もなかなかハードルが高いです。

2018年からは、クオリティースタートに似た基準(7回で自責点3点以内)が選考基準に加わったようです。


沢村賞は、たまに該当者無しということもあります。

逆に、1シーズン2人受賞したこともあります。


カムバック賞

カムバック賞は、ケガや長期の不調などから復活した選手に与えられる賞です。

セとパで基準が違うようで、パ・リーグからの選出は久しくありません。

セ・リーグでも該当者のいない年が多くあります。




タイトルの確定時期

それでは、タイトルの確定時期を見てみましょう。

個人成績の場合、『全チームがすべての試合日程を終えてから確定するもの』と『条件がそろい次第順次確定するもの』があります。


打撃タイトル

打者の各タイトルは、全チームがすべての試合を終了するまで確定しません。

どんなに大差がついていても、最後の1試合で覆す可能性があるからです。

『1試合30盗塁』も『1試合50本塁打』も、理論上は可能という見解です。


いちおう現実的な話をしておくと、歴史的な見地から、1試合に記録できる各成績の上限値はだいたい次のとおりです。

参考 1試合に記録できる成績のおよその上限

安打数 7
本塁打 4
打点 11
盗塁 6


これは全部プロ野球記録なので、この成績を1試合で残すのは、現実的にはきわめて困難です。

なので、実際にこれ以上の差がついていれば『ほぼ確定』ではあります。


投手タイトル

『最多勝』『最多セーブ』『最優秀中継ぎ』は、シーズン終了を待たずに確定することがあります。

『勝利』『セーブ』『ホールドポイント』はそれぞれ1試合に1しかマークできないので、成績の差が残り試合数を上回ったら逆転できなくなるためです。

たとえば阪神タイガースのロベルト・スアレス投手は、2021年10月6日現在、セーブ数で2位の選手に9差、3位の選手に13差をつけています。

この差のままライバル選手の残り試合数がそれぞれ9、13を切れば、逆転されることはありえません。


また、同様に『最高勝率』も勝利数や敗戦数が1試合1つしか記録されないことから、シーズン終了を待たずに確定することがあります。

勝率1位の投手が残り試合すべてに登板して負けても、勝率2位以下の投手が残り試合すべてに登板して勝利して上回れない場合、確定します。


さらに、『最優秀防御率』もシーズン終了を待たずに確定することがあります。

防御率2位以下の投手が残り試合すべてで完封しても1位の投手を上回れない場合、1位の投手の防御率が悪化する以外に逆転の可能性はありません。(2021年は延長戦がないため、1試合最大9イニングしか投げられない)

このとき、防御率1位の投手のチームがすでにシーズンを終えていたら、その時点で防御率1位が確定します。


『最多奪三振』だけは、全チームがすべての試合を終了しないと確定しません。

これは、理論上1試合で奪える三振の数に上限がないためです。

参考までに、日本記録は1試合19奪三振が最高です。


投票で決まる賞

投票で決まる賞は、投票結果が集計され次第決まります。

シーズン終了後、11〜12月に発表されます。




まとめ

プロ野球には、多くの個人タイトルや賞があります。


タイトルによって歴史や知名度は違いますが、どれも『リーグで最高の選手』という輝かしい勲章になります。


当然、タイトルホルダーになればその選手の格も上がるわけで、どの選手にとっても一つでも多くのタイトルが欲しいことだろうと思います。

その気持ちはファンも同じです。

自分が応援している選手にタイトルを獲得して欲しいと思うのはファンとして当然です。


当たり前ですが、ライバルの選手も同じように必死になってタイトルを奪いにきます。

シーズン終盤になってくると、このタイトル争いもヒートアップして、注目度が上がってきます。

タイトル争いは、優勝や順位の争いとはまた違った楽しみや興奮があります。


お気に入りの選手が一つでも多くのタイトルを獲得できるよう、ファンとしてせいいっぱい応援していきましょう。


以上、『プロ野球の個人タイトル一覧! 決定方法や時期など19の賞を解説』でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。