オープナーとは? 先発投手の新概念! メリットとデメリットを解説

おはようございます、元応援団員のハルカです。


ここ数年ではやり始めた『オープナー』と呼ばれる戦術があります。

言葉はすっかり浸透しましたが、戦術としてはそこまで定着していない感があります。

チームによっては時々取り入れているかな、というくらいの比較的珍しい戦術です。


今回は、そもそも『オープナー』って何ですかという初歩的な質問から、メリットとデメリットはどうなのかという疑問、さらには、オープナーが今後の野球の戦術にどのような影響を及ぼすかなどについて、書いてみたいと思います。



オープナーは先発投手に関する戦術

オープナーは、先発投手の起用に関する戦術です。

勝ちパターンの中継ぎ投手を先発させ、そのあと本来の先発投手を起用する戦法です。

オープナーに託すイニングはだいたい1イニングです。長くても2回くらいまでです。

二番手として、本来の先発投手がロングリリーフのように投げます。

先発投手の前にリリーフを1枚使うような感じです。

従来のセオリーからはだいぶ離れた斬新な投手リレーです。



このオープナーにはメリットとデメリットがあります。



オープナーのメリット

まずは、オープナーのメリットを見ていきましょう。


初回の失点を防ぎやすい

統計的に、初回はもっとも得点が入りやすいイニングです。

先発投手の中には立ち上がりの悪い投手や、そもそも力量に不安のある投手がいます。

そこで、初回は信頼できるリリーフ投手でしのいでしまおうという考え方です。


リリーフ投手は、短いイニングを全力で抑えることに慣れているので、『もっとも危険な初回の攻撃』を0でしのいでくれる可能性が高まるという寸法です。

そして、打順が下位に向かっていく2回あたりから、本来の先発投手を登板させます。


中盤の失点を防ぎやすい

これも統計の話ですが、序盤に好投していた先発投手も、打者3巡目あたりでつかまることが多くなるようです。

しかし、オープナーを利用して、先発投手が2回から投げ始めたのであれば、相手打線が3巡目にくるころにはかなりイニングが進行しています。

そのため、『そろそろつかまるな』と感じる頃にはもう終盤なので、盤石の継投策に入ることができます。

本来の先発投手を隠せる

2022年現在、プロ野球は予告先発制となっています。

このため、相手の先発投手の左右や相性などを踏まえたオーダーを組むことができます。


ここで、オープナーを起用することで、本来の先発投手を隠すことができます。

タイプの違う2人の二番手候補を用意しておいて、相手のスタメンの顔ぶれによって二番手投手を決めるという戦術も可能です。



オープナーのデメリット

次に、オープナーのデメリットを見ていきます。



大事なセットアッパーをいきなり1枚使う

作戦の性質上、初回の失点を防げるだけの実力をもった好投手を初回から起用することになります。

本来なら終盤に使えたはずの切り札をいきなり1枚失ってしまいます。

当然、試合終盤の控え投手が手薄になります。

さらには、総力戦になったときは駒不足にもなり得ます。

投手の酷使につながる

オープナーを使うと、作戦の性質上どうしても投手の起用人数が増えてきます。

また、同じ1イニングでも、オープナーで起用される場合と終盤に起用される場合とでは、調整の難しさもありそうです。

これが故障に繋がるとか、リズムを狂わせる原因になりかねません。


オープナーが大量失点するとその後の継投が難しくなる

初回の攻撃を抑えることが前提で始まる作戦なので、オープナーが大量失点してしまうと、その後の継投が難しくなります。

すでに壊れた試合で本来の先発投手を登板させるのは、おそろしく滑稽で、哀れです。


オープナーを評価しにくい

オープナーは、勝利、ホールド、セーブといった個人記録が一切つかず、成功が成績に反映されません。

(敗戦投手にはなり得ます)

そのため、戦術が成功してもその投手を評価しづらいのがデメリットです。

こうなると、『モチベーションの維持が難しい』、『マスコミが取り上げにくくスポットライトが当たりにくい』、『年俸交渉の材料に使いにくい』などのマイナス面が出てきます。

せめて『オープナーとして何度成功したか』がわかる基準ができれば、少しは報われそうな気がします。


一方、オープナーを使われる先発投手は、『お前は普通に先発登板したらダメだ』と、半ば先発失格の烙印を押されたようなものとも言えます。

その精神的ダメージも、デメリットの一つかもしれません。



オープナーと似た戦法

オープナーと似た別の戦術もあります。

少し紹介してみましょう。


ショートスターター

先発投手が3イニングくらいの短い回を投げます。

二番手も、第二先発と言うのかロングリリーフと言うのか、同じく3イニングくらい投げてそれに続いたりします。


ブルペンデー

初回から最終回まですべてリリーフ投手のみで小刻みに継投していくやり方です。

リリーフの層が厚いか、先発の頭数が足りないか、だいたいそのどちらかの理由で見られる作戦です。



オープナーで野球界はどう変わる?

オープナーは賛否両論もある戦術ですが、今のところの認識では、『投手陣の層が薄いチームの苦肉の策』として捉えられているようです。

正直、戦術としてそこまで浸透はしていません。

当の投手たち本人にしても、賛否や向き不向きがありそうです。

どうやら、『これからの野球界の主流となる戦術』というよりは、あくまで奇策のような形でひっそりと残っていくものになりそうです。


とはいえ、長い野球の歴史の中で、継投の概念を覆した画期的な作戦だったことは間違いありません。

まだまだ事例の少ない戦術なので、もしかするとまだ表面化していないメリットやデメリットが隠れていることも考えられます。

また、オープナーからさらに派生した新しい選手起用法が生まれるかもしれません。

しばらくは、この新しい継投方法に注目していきたいと思います。



まとめ

オープナーのメリットとデメリットを挙げてみました。


かなり斬新なアイデアで、最初の頃は否定的な評価が多かった気がします。

それは、ファンだけでなく、選手にとってもそうだったかもしれません。

今ではだいぶ市民権を得てきたので、少なくとも理解はされているようです。


今のところ、そこまで戦術としては浸透していません。

ただ、これからオープナーを評価する制度ができたり、新たなメリットやデメリットが表面化するようになれば、この作戦がもっとメジャーなものになるかもしれません。

さらに、オープナーをさらに発展させた新たな投手起用法が派生する可能性もあります。

監督や投手コーチたちの手腕に注目です。


以上、『オープナーとは? 先発投手の新概念! メリットとデメリットを解説』でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。