無安打無得点とは? 完全試合やメジャーとの違いは何?

おはようございます、元応援団員のハルカです。


野球に、『無安打無得点』というものがあります。

ノーヒットノーランとも呼ばれています。


珍しい記録なので日常的に見るものではありませんが、年間で見れば、1年に1人弱くらいのペースで誰かが達成している記録でもあります。

ここで、『無安打無得点』とは、どういう状態を指すのでしょうか。

似たような投手記録として『完全試合』がありますが、どう違うのでしょう。

また、無安打無得点の中でも『特に珍しい無安打無得点』や、例外のケースなどはどんなものがあるでしょうか。

また、メジャーと扱い方が違う部分もあります。


今回は、たまに見られる記録『無安打無得点』について、いろいろと記載してみたいと思います。





無安打無得点とは

無安打無得点とは、1試合で投手が相手チームに安打と得点を許さないことを指します。

『得点』は英語で『RUN(ラン)』なので、ノーヒットノーランとも呼ばれています。(和製英語)


安打以外の出塁は許されます。

四死球、失策、振り逃げ、打撃妨害が原因でランナーを出しても、『無安打』に抵触しないということです。


9回まで無安打無得点を継続していても、延長戦以降に途切れた場合は参考記録として扱われます。

9回を投げ切って無安打なのに、ちょっと過酷な感じがします。

実際に、こうしたケースは過去に10回以上あったようです。

近年では、2005年の西口文也投手(西武)や、2014年の金子千尋投手(オリックス)が記憶に新しいところです。

特に、西口文也投手(西武)は9回を投げ切った時点で完全試合でしたが、延長戦で途切れたため参考記録止まりとなっています。


ちなみに、個人記録として公認されるのは、先発投手が完投して達成した場合です。

複数投手による継投で達成した場合は、チームの参考記録として残ります。

過去、こうしたケースは7度あったようです。

そのうちの1つは、日本シリーズでの完全試合です。

このときは、山井大介投手、岩瀬仁紀投手によるパーフェクト継投で日本一を決めるという離れ業が見られました。

この記録ばかりは、今後二度と見られることはないでしょう。

また、もう1つのケースとして、オールスターで全セの継投リレーで達成した試合もありました。



完全試合とは

完全試合とは、一人の走者も許さない完封勝利を指します。

パーフェクトゲームとも呼ばれています。


無安打無得点は、安打以外の走者を出しても達成されます。

完全試合では、四死球、失策などのいかなる出塁も許しません。


当然、無安打無得点よりもさらに難易度があがります。

日本では15回しか達成されておらず、最後の達成は1994年の槇原寛己投手まで遡ります。



ノーヒッターとは

ノーヒッターは、無安打無得点(ノーヒットノーラン)と似ていますが、ちょっと違います。


ノーヒッターは、メジャーでの記録です。

MLBの公式見解では、『9回以上を一人または複数の投手が無安打に抑えた場合』と定義されています。

日本と一番違う点は、得点を許すかどうかは考慮しないという点です。

野球では、0安打で得点が入ることはけっこうあります。

0安打で1点入った場合、『無安打無得点』の可能性は消滅しますが、『ノーヒッター』は継続中となります。


失点しても構わないという性質上、チームが敗戦してもノーヒッターが達成される場合もあります。





過去の無安打無得点の達成例

2022年の開幕前時点で、日本のプロ野球公式戦では93回(82人)の達成がありました。


公式戦のほか、クライマックスシリーズで1回達成されています。

投手が完投することのないオールスターゲームですが、継投による無安打無得点が記録されたことがあります。


完全試合はと言うと、過去15回の達成がありました。

15人が1回ずつ、計15回です。


特別な無安打無得点

日本のプロ野球公式戦では93回達成された無安打無得点。

その中でも、特別な無安打無得点があります。

いくつか取り上げてみましょう。


◆1936年9月25日 沢村栄治投手(読売)

初めての記録達成。


◆1937年5月1日 沢村栄治投手(読売)

2シーズン連続での記録達成。


◆1937年7月3日 V.スタルヒン投手(読売)

外国人投手による達成第1号にして、同一シーズン同球団での複数人による達成。


◆1952年5月7日 真田重蔵投手(阪神)

複数球団でのノーヒットノーラン達成。


◆1956年5月3日 大脇照夫投手(国鉄)

史上初の『奪三振なし』での完封。


◆1973年8月30日 江夏豊投手(阪神)

決勝点が延長11回、江夏投手自身のサヨナラ本塁打。


◆1987年8月9日 近藤真一投手(中日)

高卒からプロ初登板で達成。


◆2006年5月25日 リック・ガトームソン投手(ヤクルト)

初の交流戦での達成。


◆2012年10月8日 西勇輝投手(オリックス)

相手主力選手の引退試合で達成。


◆2018年10月14日 菅野智之投手(読売)

初のクライマックスシリーズでの達成。


メジャーの場合

メジャーでは314回(250人)がノーヒッターを達成しているようです。

そのうち2回は野茂英雄投手(1996年と2001年)が記録したものです。

また、2015年には岩隈久志投手も達成しています。

今のところ、日本人選手による達成は、この3回(2人)です。


個人記録で目を引くものがいくつかあります。

ノーラン・ライアン投手は、通算7回も達成しています。

サンディ・コーファックス投手は、4年連続で達成しました。

ジョニー・ヴァンダー・ミーアは、自身2試合連続で達成しました(しかも中3日の登板)。

他に、9回まで両チームが無安打だった試合もあったなど、メジャーには様々なケースのノーヒッターがあったようです。





球団別の無安打無得点の達成回数

球団別に、無安打無得点の達成回数を比較してみましょう。

ちなみに、どこも前身球団を含んで集計しています。


無安打無得点の達成回数

まずは、投手が無安打無得点を達成した回数を見てみます。


17回 読売
12回 中日
 9回 阪神、オリックス、西武、ヤクルト
 7回 近鉄
 6回 広島
 5回 日本ハム
 3回 DeNA
 2回 ソフトバンク、ロッテ、大和軍
 1回 大映、松竹

現在の12球団のうち、楽天は歴史が浅いこともあって、まだ達成者はいません。


無安打無得点を献上した回数

次に、ちょっと不名誉(?)な、『無安打無得点を食らった回数』を見ていきたいと思います。


18回 中日
11回 阪神
 9回 広島
 8回 読売
 7回 ソフトバンク、DeNA
 6回 オリックス、近鉄
 5回 西武
 4回 日本ハム
 3回 ヤクルト、ロッテ、松竹、大和軍
 2回 楽天、翼軍
 1回 大映、高橋、西日本


中日がなぜかダントツで多いみたいです。

まあ、1安打完封も無安打完封も大した違いはないと思うので、そんなに気にする記録ではないとは思いますが。

それでも、不名誉な記録ということには変わりありません。

球団として歴史の浅い楽天も、すでに二度ほど無安打無得点に封じられています。





まとめ

無安打無得点について、色々とまとめてみました。

珍しい記録ではあるけど、何年も野球を観ていたら、たまに目にする記録ではあります。


無安打無得点は、チームへの貢献度がきわめて高い記録でもあります。

まず、『完投勝利すること』の貢献度が高いです。

近年は投手分業制が当たり前になっているので、一人で1試合を投げ切ることがかなり少なくなっています。

0安打や0点に抑えるのはもちろんすごいことですが、『完封勝利を挙げること』がチームに対するもっとも大きな貢献と言えます。


でも、無安打無得点が絶対とも言えません。

ケチをつけるわけではありませんが、『1安打完封』と何かが違うかと言われれば、ほとんど『何も変わらない』と言えなくもないです。


まあ、サイクル安打同様、無安打無得点はレア度の高い記録だし、チームに弾みがつきやすいのは間違いありません。

何かのきっかけにはなりやすい要素はたくさん持っています。


ちなみに、僕は無安打無得点を何度か観戦したことがあります。

応援しているチームが達成したこともあれば、相手チームにやられたこともあります。

やられた側としては、攻撃時に見せ場がまったくといっていいほどなかったということです。

正直、応援団としてはこれほどつまらない試合もありません。

チームによっては、最終回の攻撃は走者なしでもチャンステーマを発動させる応援団もあるみたいですね。

そこは応援団のセンスとサービス精神だと受け止めてください。

無安打無得点だと試合展開が早くなることも多く、なんだか応援した気にならないような感覚が試合後に残っていたことを覚えています。


近年は、『投手分業制』とか『100球をメドに降板』などが主流なのに加え、オープナーなどの戦術により、そもそも先発投手が完投することが珍しくなっています。

とはいえ、先発投手が終盤まで無安打無得点を継続していたら、ファンはもちろん本人も監督も無安打無得点を狙いにいくでしょう。


今年もまた、誰かが無安打無得点を達成するでしょうか。

(どこかのチームが餌食になってしまうでしょうか)

槇原博巳投手を最後に、四半世紀達成されていない完全試合が、久々に達成されるでしょうか。


試合終盤まで無安打無得点(あるいは完全試合)が継続中の試合では、特に注目してハラハラしながら観戦したいと思います。


以上、『無安打無得点とは? 完全試合やメジャーとの違いは何?』でした。

最後までお読みいただきありがとうございました。