『追われるより追う方が楽』は本当なのか?理由を徹底検証

おはようございます、元応援団員のハルカです。


2021年のシーズンも残り10試合前後となり、いよいよ佳境に入ってきました。


優勝争いをするチーム、CS出場に標準を合わせるチーム、Aクラス入りが絶望的なチームといろいろ状況はあります。

いずれのチームにも共通して言えるのは、『自分たちの1つ上(下)のチームの動向』が気になるということでしょうか。


この時期、順位争いに関して良く聞く言葉があります。

『追われるより追う方が楽』です。

1位のチームより、2位のチームの方が優位という意味です。

追ったことも追われたこともない素人としては、感覚的なことはよくわかりません。

一方で、『追う方が絶対厳しい』との反論もあります。


いったい、どっちが本当なのでしょうか。

あるいは状況次第で、どっちが楽かコロコロ入れ替わるのでしょうか。


今日は具体的な2つの視点をもとに、『追われるより追う方が楽』が本当かどうかを徹底検証してみたいと思います。




『追う方が楽』を検証

追う方が楽。

つまり、『現在首位のチームが不利で、2位チームの方が有利』ということです。


本当でしょうか。

今シーズンの状況に照らし合わせて考えてみましょう。


『追う方が楽』の具体的ケース

2021年10月14日の朝のセ・リーグの順位表で見てみましょう。


首位は東京ヤクルトスワローズ。

69勝46敗16分で勝率は.600


2位は阪神タイガース。

72勝54敗8分で勝率は.571


優勝の可能性を残すのはこの2チームのみになりました。


優勝ラインを見てみましょう。

ヤクルトが残り試合を5割ペース(6勝6敗)でいった場合、最終的に75勝52敗16分で勝率は.591になります。

阪神がこれを上回るためには、残り9試合で『7勝0敗2分』あるいは『8勝1敗1分』が必要です。


一方、阪神が残り全勝(9勝0敗)で勝ち続けたとしても、ヤクルトはこれを上回るためには『6勝3敗3分』あるいは『7勝4敗1分』で済みます。


どう見ても、ヤクルトが有利な気がしてなりません。

とても追う方が楽とは思えないです。

もしかして検証する時期が少し遅すぎたかな?

おそらく『追う方が楽』は、もう少し前の8月〜9月くらいまでの期間を言うのかもしれません。

残り10試合前後になってきたら、追うのは正直キツいことがよくわかりました。


そこで、話を8月下旬頃に戻します。


2021年8月31日の試合終了時の成績はこんな感じでした。

1位 読売 51勝37敗12分 勝率.580

2位 阪神 55勝42敗3分 勝率.567

3位 ヤクルト 47勝36敗11分 勝率.566


さらに遡ってみます。

2021年7月31日の成績はこんな感じでした。

1位 阪神 48勝33敗3分 勝率.593

2位 読売 43勝32敗10分 勝率.573

3位 ヤクルト 42勝32敗9分 勝率.568

なるほど。

8月途中まで首位を守っていた阪神は『追われる立場』で首位を維持できず。

そして入れ替わって首位になった読売も、やはり『追われる立場』で首位を維持できず。

そして、ずっと『追う立場』だったヤクルトが最終的には首位に。

なんと、噂どおり!

どうやら、本当に追われる展開は楽ではなかったようです。


特に阪神は春先から首位を走り、このまま優勝かと期待されていました。

長く首位を走るのは、簡単なことではなかったようです。

どこか無理をしていたのかもしれないし、たまたまみんなの好調の波が重なっていたのかもしれません。


もちろん、今年のセ・リーグのケースは単なる一例であって、毎回こうなるというわけではありません。

そのまま阪神あるいは読売が逃げ切るというパターンもありえたはずです。


『追う方が楽』な根拠

『追う方が楽』というのは、言い換えると『追われるのはキツい』ということです。

追われることの何がそんなにキツいのでしょうか。

今年の阪神や読売に当てはまるかどうかは別として、一般的に『追われるのがキツい』理由としては、一番考えられるのは、次のことです。


すなわち、『守りに入ると弱い』という理屈。


プロ野球チームは、だいたいどこも実力が伯仲しています。

順位が競っているチーム同士ならなおさらです。

このとき、一方のチームが守りに入っていたらどうなるでしょう。

『これだけリードして負けるわけにはいかない』『逃げ切らなければ』という精神状態で戦うと、どうしても思い切ったプレーができず、隙も生じやすくなります。

精神面で優位にたてば試合も優位に運べるし、逆に精神面で負けてしまうと人間は脆く、弱さを簡単に露呈してしまいます。


こうなってしまうと、2位チームに流れがきてしまいます。

もともと実力は同等。

そうなると、『流れ』が大きくモノを言います。

大きな流れの前には、『多少のゲーム差』も『不利な試合展開』も無力です。

その程度の差なんて簡単にひっくり返してしまうくらいの勢いが生まれます。


まして、『追われるチーム』が久しく優勝争いをしていない若いチームだと、なおプレッシャーは強まります。

そのうえ『追うチーム』が経験豊富な常勝チームの場合、追われる方はさらに精神的に追い詰められます。


僕もそうした精神面が勝敗に及ぼすパターンには経験があります。

僕は、かつて野球以外のスポーツをしていました。

試合の序盤で『勝った』と思えたことが何度もあります。

たいていは、そのまま楽な展開で簡単に勝ってしまいます。

しかし、勝ったと思えた試合がズルズルと長引いて盛り返されたりしてくると、しだいに焦り始めます。

『この試合は序盤で勝ちが決まったはずなのに』と思い始めたらもう危険信号で、結局足元をすくわれるなんてことが何度かありました。

きっと『追われるのがツラい』と同じ状況を指していると思います。

守りに入ってしまうと、一気に劣勢に立たされます。

今年の阪神や読売もそれだけではないでしょうが、きっと似たようなことが起こったのだと思います。




『追われる方が楽』を検証

『追われる方が楽』

つまり、『現在首位のチームが有利で、2位チームの方が不利』ということです。

これは、もうそのままですよね。

現時点で上位にいる方が有利なのは当たり前すぎます。

でもせっかくなので、もう少し踏み込んで検証してみましょう。


またまた今シーズンの状況に照らし合わせて考えてみます。


『追われる方が楽』の具体的ケース

2021年10月14日の朝のパ・リーグの順位表で見てみましょう。

首位はオリックスバファローズ。

66勝52敗17分で勝率は.559


2位は千葉ロッテマリーンズ。

62勝51敗19分で勝率は.549


3位は東北楽天ゴールデンイーグルス

62勝55敗15分で勝率は.530


優勝ラインを見てみましょう。

オリックスが残り試合を5割ペース(4勝4敗)でいった場合、最終的に70勝56敗17分で勝率は.556になります。

ロッテはこれを上回るためには『7勝4敗』『6勝3敗2分』『6勝2敗3分』といった成績が必要です。

楽天の場合、『9勝1敗1分』『8勝1敗2分』『7勝0敗4分』といった成績が必要です。

(8勝1敗2分だと同成績で並びます。直接対決は楽天が1つ勝ち越しています)


一方、ロッテが残り8勝3敗のハイペースで勝ち続けたとしても、オリックスはこれを上回るためには『5勝2敗1分』『4勝1敗3分』で済みます。

(『4勝2敗2分』だと同成績で並びます。直接対決はオリックスが1つ勝ち越しているのでこのまま行けばオリックス優位ですが、直接対決の成績で並ぶと、逆にロッテが上位になります。)


楽天はさらに厳しい状況です。

楽天が残り9勝2敗のハイペースで勝ち続けたとしても、オリックスはこれを上回るためには『4勝4敗』『3勝3敗2分』で済みます。


オリックスが有利なのは明白です。


これも、残り10試合程度では検証時期が遅すぎた気がするので、少し遡ってみてみましょう。


セ同様に、話を8月下旬頃に戻します。


2021年8月31日の試合終了時の成績はこんな感じでした。

1位 オリックス 49勝38敗13分 勝率.563

2位 ロッテ 46勝38敗14分 勝率.548

3位 楽天 46勝42敗13分 勝率.523


さらに遡ってみます。

五輪で長らく中断していた間の成績はこんな感じでした。

1位 オリックス 42勝34敗11分 勝率.553

2位 楽天 41勝36敗11分 勝率.533

3位 ロッテ 37勝34敗11分 勝率.521


セ・リーグとは違う展開です。

こちらは8月まで首位を守っていたオリックスが『追われる立場』でしたが、10月14日現在も首位の座にいます。

実際は一時的な首位の逆転もありました。しかし、再逆転が起こって、現在順位は8月下旬のとおりに戻っています。

再逆転できたのは、8月までにリードしていた貯金の差が大きかったようです。

こっちは、噂と違う!

オリックスは『追われるチームの優位性』を活かしてそのまま首位で逃げ切れそうな雰囲気です。


『追われる方が楽』な根拠

『追われる方が楽』な理由は、明白です。

現時点での成績が下位チームより優秀ということです。

首位の立場で考えれば、自分が負けても、2位のチームも一緒に負ければそれでOKです。

逆に、2位のチームが勝っても、同じように自分も勝てば差は縮まりません。


『追うチーム』から見た方が、『2位の不利』がわかりやすいかもしれません。

たとえば、両リームとも残り30試合あって、ゲーム差が3.0あったとします。

首位チームが残り試合を15勝15敗の五分でいったとき、2位チームは最低でも18勝12敗が要求されます。首位チームを逆転するには、それ以上の成績が必要です。

まして、首位が5割でいくというのも都合のいい話です。

実際にはそれ以上勝つことが現実的なわけで、その分追いかけるチームには上乗せが必要になります。


これが『追われる方が楽』のすべてです。

数学的に見て、圧倒的に有利です。

現時点で下位チームより良い成績を残しているのだから当然です。


ペナントレースは文字通りレースです。

マラソンにせよ短距離走にせよ、先頭を走っている方が、ゴールに近い距離にいます。

それまでに多くの貯金を作ってきた優位性は、かなりモノを言います。




2021年のケース

今年のオリックスは、夏場まで首位にいました。

そして、終盤にきてロッテに首位の座を奪われてしまいました。

この時点では『追われる立場のキツさ』を実演したような形になりました。

今度は一転して『追う立場』になります。

すると今度は『追う立場』の強みを活かして、再度首位を奪還します。


そして首位に立ったいま『追われる立場の優位性』を活かしてそのまま逃げ切りを図っています。


『追われる立場のキツさ』『追う立場の強み』『追われる立場の強み』というあらゆるパターンを1シーズンで体験したとも言えます。

オリックスはしばらく優勝争いから遠ざかっていて、若いメンバーが躍動しています。

1年でいろいろ経験できたことは、今季のポストシーズンに向けて、さらには来季以降に向けて、多くの財産になるのではないかと思います。


もっとも、オリックスの優勝が決まったわけではありません。

本日10月14日は直接対決。

この試合でロッテが勝利すれば、また『追われる立場のツラさ』が再発動するかもしれません。

ただ現実的に見ればオリックスの優位は間違いないです。

最終的に、どちらの立場が首位の座を手にするのか。

最後までもつれる優勝争いから目が離せません。




まとめ

『追われる立場』と『追う立場』それぞれの優位性について見てみました。


一言でまとめるなら、追う方が楽なのは精神的理由(特に経験値が違う場合)、追われる方が有利なのは数学的理由と言えるでしょうか。


時期的なものもあるようです。

ゴールがまだ長い8月〜9月中旬くらいまでは『追われる立場のツラさ』が大きそうです。

逆に残り試合が僅かになってくると、一つの取りこぼしも許されなくなってきます。

そうなると、数学的にみて『追う立場』はかなり厳しい状況になります。


そして、2021年のパ・リーグの優勝争いは最後までもつれています。

『追われる立場』から『追う立場』になり、再度『追われる立場』になったオリックス。

最終的にオリックスとロッテのどちらが勝つのか。

あるいは、もしかして3位の楽天が2チームを差し切って逆転するのか。

残り試合はそれぞれ10試合前後。

最終最後の順位に注目したいと思います。


以上、『「追われるより追う方が楽」は本当なのか?理由を徹底検証』でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。