【徹底検証】打者に1球も投げずに勝利投手や敗戦投手になれるのか
おはようございます、元応援団員のハルカです。
投手には、その試合でどのような責任を果たしたのかという記録があります。
具体的にいえば、『勝利』『敗戦』『ホールド』『セーブ』が挙げられます。
それぞれ、一定の条件を満たした投手に記録されます。
では、投手が1球も打者に投球しないまま、これらの記録をつけることができるのでしょうか。
『1球で勝利投手』とか『1球で敗戦投手』というのはたまに聞きます。
『0球』でもそれは可能でしょうか。
結論を言うと、すべて可能です。
条件さえ満たせば、1球も投げなくても勝ち投手にも負け投手にもなりうるし、ホールドやセーブも記録できます。
実際にあったかどうかは知りませんが。
では、どうすればそんなことが可能なのか、具体的に一つずつ見て行きましょう。
1球も投げずに勝利投手になる
まずは、1球も投げずに勝利投手になる方法を見ていきましょう。
先発投手が『0球で勝利投手』は不可能
まず言っておかなければいけないのは、『先発投手が1球も投げずに勝利投手になるのは不可能』ということです。
先発投手は、5回を投げ切らないと勝ち投手になりません。
15個のアウトを取るために、最低でも15球が必要になります。
『0球で勝利投手』などという極端な記録を生むためには、限りなく少ないアウト数で勝利投手になる必要があります。
そうなると、中継ぎ投手がたった1つのアウトを取ることで漁夫の利的に勝利投手になるような、そういう感じになります。
アウトを1つ取ることが必要
勝利投手になるためには、最低でも1つアウトを取らないといけません。
逆に言えば、『ここでアウトを取れば勝利投手になる権利を得る』という場面で登板してアウトを取れば、その後の展開次第で勝利投手になれます。
中継ぎ投手が勝利投手になるのは、たとえばこんなシーンです。
① 『自軍の投手が誰も勝利投手の権利を持っていない』という状況(同点、ビハインド、あるいは先発投手が5回をもたずに降板した状況)で登板する
② その回を自分が投げ切る(アウトを取る)
③ 直後の自軍の攻撃でリードして、そのまま逃げ切る(あるいは、それがサヨナラ打になる)
①の状況で登板してアウトを取ることができれば、勝利投手になり得るということです。
そのアウトが0球で取れれば、『1球も投げずに勝利投手』が達成できます。
0球で勝利投手になる具体的方法
特定の条件下で登板して、0球でアウトを取れれば『1球も投げずに勝利投手』が達成できることが判りました。
では、打者に1球も投げずにアウトを取るにはどんな方法があるでしょうか。
答えはカンタン、『牽制死』または『隠し球』です。
ピックオフや、その後のランダンプレーでのベース空過、あるいは走者の追い越しなどアウトのなり方はいくつかあるかもしれませんが、いずれにしても走者絡みです。
打者ではなく走者をアウトにするやり方です。
塁上の走者を刺すことができれば、打者に1球も投げずにアウトを取ることができます。
そして、その直後の攻撃で自軍が決勝点を挙げれば『0球で勝利投手』になります。
ちなみに、ルール上は他にもアウトを取る方法はあります。
たとえば『打者や走者が急に権利を放棄してベンチに帰る』とか、そういうやつです。
正直、現実性がありません。
おそらく、現実に起こりうるプレーの中で『牽制死』と『隠し玉』だけが、『1球も投げずにアウトを取る』ことを可能にする方法だと思います。
今までプロ野球史上でこういうことはあったのでしょうか?
たぶん、ないような気がします。(調べていません)
1球も投げずにホールドがつく
次は、1球も投げずにホールドがつく方法を見ていきましょう。
実は、『0球で勝利投手』とほとんど条件は同じです。
『ここでアウトを取ればホールドがつく』という場面で登板してアウトを取って降板すれば、ホールドが記録されます。
そのアウトの取り方が『打者への投球が0球』であれば、『0球でホールドがつく』ことになります。
勝利投手のときと同様、0球でアウトを取る方法は『牽制死』または『隠し球』です。
ホールドは、勝利投手と比較すれば、成立条件は緩やかです。
(登板する場面がシビアかどうかという意味ではなく、そういうシチュエーションで登板する可能性が高い、という意味で)
リリーフ投手が打者1人だけと対戦して降板するなんて、日常的にあることですし。
その意味では『0球で勝利投手』よりは『0球でホールドがつく』の方が実現の可能性は高めだと思われます。
1球も投げずにセーブがつく
今度は、1球も投げずにセーブがつく方法を見ていきましょう。
ここまでくると言うまでもないでしょうけど、『0球でホールドがつく』と同じです。
『この回を抑えればセーブがつく』という場面で登板してリードを保ったまま抑えれば、セーブが記録されます。
そのアウトの取り方が『打者への投球が0球』であれば、『0球でセーブがつく』ことになります。
ホールドとセーブが記録される条件は、細かい点では違いがたくさんあります。
しかし、今回の『0球で達成できるか』という観点でみれば、まあ違いはありません。
0球でアウトを取る方法は、ホールドのときと同じで『牽制死』または『隠し球』です。
1球も投げずに敗戦投手になる
最後に、1球も投げずに敗戦投手になる方法を見ていきましょう。
自分が出した走者で失点することが必要
敗戦投手になるのは、『自分が出した走者を還されて、それが決勝点になること』が条件になります。
つまり、敗戦投手になるのは『走者を出す』ところから始まります。
たとえばこんなシーン。
① 同点で走者なしの場面で登板する
② いきなり走者を出す
③ すぐ降板する
④ 降板後、その走者が生還して失点し、それが決勝点になってチームが負ける
これは、先発投手でも中継ぎ投手でも構いません。
ちなみに、①は『同点で走者なしの場面』と書きましたが、『自軍が1点リードしていて走者が1人いる場面』での登板も同様の条件を満たしています。
肝心なのは、『自分が出した走者による失点が決勝点になって敗戦すること』です。
『1球も投げない』という条件をスムーズにクリアするためには、走者を出したらすぐに降板し、次の投手が打たれてその走者を還されることが現実的です。
これらのことを突き詰めていえば、特定の条件下で1球も投げずに走者を出すことさえできれば、『1球も投げずに敗戦投手』が記録されます。
0球で敗戦投手になる具体的方法
特定の条件下で登板して、0球で走者を出せれば『1球も投げずに敗戦投手』が達成できることが判りました。
では、打者に1球も投げずに走者を出すにはどんな方法があるでしょうか。
答えはカンタン、『申告敬遠』です。
現行ルールで、1球も投げずに走者を出す唯一の方法です。
登板して最初の打者を申告敬遠すれば、1球も投げずに走者を出したことになります。
直後に降板し、この走者が還ってそれが決勝点になれば『0球で敗戦投手』になります。
ちなみに、『ボーク』『牽制悪送球』『投球前の盗塁』などでは条件を満たしません。
前の投手が出した走者が還ることはあっても、自分の失点にはなりません。
このため、ボークや牽制悪送球で『0球で敗戦投手』になることはありません。
申告敬遠が導入されて歴史も浅いこともあり、さすがにプロ野球史上で前例はないようです。
まとめ
投手は投球してこそ投手ですが、たまに投球をしないまま、試合を進行させることもあります。
今回はレアケース中のレアケースとして、1球も打者に投じないまま『アウトを取る』『走者を出す』という場合について考えてみました。
正直、『0球で勝利投手』というのは、可能性はあるものの、現実味はほとんどないと思います。
それでも、もつれた試合では何かの弾みに『0球で敗戦投手』『0球でセーブ』ということが起こるかもしれません。
いつか、歴史的瞬間に立ち会う可能性もありますね。
僅差の試合でリリーフ投手を目まぐるしくつぎ込むような展開になったときは、期待して見ておくことにしましょう。
以上、『【徹底検証】打者に1球も投げずに勝利投手や敗戦投手になれるのか』でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。