サイクル安打とは? 成立要件やレアケースにはどんなものがある?

おはようございます、元応援団員のハルカです。


野球に、『サイクル安打』というものがあります。

サイクルヒットとも呼ばれています。


珍しい記録なので日常的に見るものではありませんが、年間で見れば、1年に1人弱くらいのペースで誰かが達成している記録でもあります。


ここで、『サイクル安打』とは、どういう状態を指すのでしょうか。

また、サイクル安打の中でも『特に珍しいサイクル安打』や、例外のケースなどはどんなものがあるでしょうか。


今回は、たまに見られる記録『サイクル安打』について、いろいろと記載してみたいと思います。





サイクル安打とは

サイクル安打は、1試合に1人の打者が単打、二塁打、三塁打、本塁打を各1本以上打つことです。

連盟から認められた記録なので、表彰もされるし、公式記録に残ります。


元々は『単打、二塁打、三塁打、本塁打の順で安打を打つこと』が要件だったようですが、現在では安打の順番は関係ありません。

さらに言えば、『4打席連続安打』である必要もなく、その間に凡打や四死球などを挟んでも構いません。


1試合に1人で4安打するだけでも大変なのに、すべての安打をマークするのはかなり困難なことです。

当然、達成は難しく、珍しい記録です。

たまに、『二塁打2本を含むサイクル安打』のように、5安打以上の安打を放って達成する選手もいます。


運の要素も強いため、歴史に残るような強打者であっても、サイクル安打を達成したことのない選手は大勢います。

一方、3回達成のロバート・ローズ選手をはじめ、複数回達成したことのある選手もいます。


ちなみに、『サイクルヒット』は和製英語です。

メジャーでは『Hit for the cycle』というそうです。


もっとも出にくい安打は

サイクル安打を狙ううえで、ハードルを上げているのが『本塁打』と『三塁打』です。

本塁打を放つには長打力が求められるし、三塁打は脚力も必要になります。

数字上、4種類の安打の中でもっとも出にくいのは『三塁打』です。

じっさい、三塁打だけを打てず記録を達成できなかった例は多数あるようです。


三塁打は運の要素も大きいので、なかなか狙ってマークできるものではありません。

しかし、得津高宏選手(ロッテ)は、三塁打2本を含むサイクル安打を達成という離れ業をやってのけました。

また、中村紀洋選手(近鉄)は、自身初めての三塁打でサイクル安打を達成しました。


三塁打は、年間を通じても2ケタ打てないほど稀少な安打です。

それだけに、試合開始から最初の二打席で『本塁打』と『三塁打』の2つを打ってしまうと、誰もがサイクル安打の達成に期待をし始めてしまいます。


進塁しすぎて逃した例

『あと単打が出ればサイクル安打』という状況で二塁打を打ってしまった(一塁ベースで止まればサイクル安打だった)ためにサイクル安打を逃した選手もいます。


本来の目的を考えれば、進める塁を貪欲に奪うのは当然です。

でも、このときは観ていてちょっと惜しい気持ちもあります。

僕が観た中では、松井秀喜選手が読売時代にこれを一度経験しています。


もはや『サイクル安打以上の価値がある』とも解釈できますが、サイクル安打の記録としては何も残らないのが残念です。





過去のサイクル安打達成例

2022年の開幕前時点で、日本のプロ野球公式戦では76回(71人)の達成がありました。


公式戦のほか、オールスターゲームで2回、ジュニアオールスターゲームで1回、秋のセパ東西対抗で1回の達成があります。

クライマックスシリーズや日本シリーズでの達成は、今のところありません。


メジャーでは332回(294人)が達成しているようです。

そのうちの1回は、2019年6月13日にエンジェルスの大谷翔平選手が記録したものです。

今のところ、これが日本人選手にとって唯一のメジャーでのサイクル安打です。


特別なサイクル安打

日本のプロ野球公式戦では76回達成されたサイクル安打。

その中でも、特別なサイクル安打があります。

いくつか取り上げてみましょう。


◆1948年10月2日 藤村富美男選手(大阪)

日本のプロ野球公式戦でのサイクル安打第1号です。

実は、当時は『サイクル安打』という概念がそもそもなくて、藤村選手の記録は見逃されていました。

その後、外国人選手の指摘によってサイクル安打という概念が認知され、遡った結果、藤村選手が第1号だったことが発覚しました。


◆1965年7月16日 ダリル・スペンサー選手(阪急)

外国人選手の達成第1号でした。

また、スペンサー選手自身の指摘により、サイクル安打が国内で認知されました。


◆1999年6月30日 ロバート・ローズ選手(横浜)

3回目のサイクル安打達成です。一人の選手が3回達成したのは、日本では歴代最多です。


◆2003年7月1日 稲葉篤紀選手(ヤクルト)、村松有人選手(ダイエー)

同じ日に別々の球場で2人の選手が達成しました。

さらに言えば、翌日は桧山進次郎選手(阪神)も達成したので、2日間で3人の選手がサイクル安打を達成したことになります。

ちなみに稲葉選手の試合は雨天コールドになりましたが、稲葉選手は5回の時点ですでにサイクル安打を達成していました。これは最速イニング記録のようです。


◆2004年4月13日 アレックス・オチョア選手(中日)

史上唯一、メジャーと日本の両方でのサイクル安打達成です。

アレックス選手はそれをサヨナラ本塁打で決めました。


◆2021年8月25日 牧秀悟選手(DeNA)

新人選手がサイクル安打を達成した初めての例となりました。


球団別のサイクル安打達成回数

球団別に、サイクル安打の達成回数を比較してみましょう。

ちなみに、どこも前身球団を含んで集計しています。

10回 DeNA
 8回 中日
 7回 西武、オリックス、阪神、ヤクルト
 6回 広島
 5回 日本ハム、読売、ロッテ
 4回 ソフトバンク、近鉄
 1回 大映

現在の12球団のうち、楽天は歴史が浅いこともあって、まだ達成者はいません。





まとめ


サイクル安打について、色々とまとめてみました。

珍しい記録ではあるけど、何年も野球を観ていたら、たまに目にする記録ではあります。

サイクル安打は、チームへの貢献度が高い記録でもあります。

まず、『1試合に4安打すること』の貢献度はきわめて高いと思います。

そのなかに本塁打などの長打も含まれているので、得点に繋がりやすい記録です。


でも、サイクル安打が絶対とも言えません。

中には、サイクル安打以上に価値のある打撃成績もあります。

通常のサイクル安打(本塁打、三塁打、二塁打、単打)より、かつての松井秀喜選手のように(本塁打、三塁打、二塁打、二塁打)の方が価値は高いけど、松井選手にサイクル安打に関する記録は何も残りません。

もっと極端に言えば、本塁打4本の方が価値があるとも言えますし。


まあ、サイクル安打は、あくまでトランプのポーカーのようなゲーム感覚のある記録でもあります。

4つ揃うことがなかなかない4種類の安打を1試合に集中させたという稀少価値がありそうです。


ちなみに、僕はサイクル安打を球場で直接観たことがありません。

応援団員として数えきれない数の試合を観戦しても、一度も巡り合えていません。

無安打無得点(ノーヒットノーラン)は、『やる側』『やられる側』ともに観戦経験があるのに、サイクル安打とはどうも縁がありません。

(無安打無得点は、日本のプロ野球公式戦で93回(82人)達成されていて、レア度としてはサイクル安打とだいたい同じくらいなのに)

今季こそ、サイクル安打が観戦できることを楽しみにしてみたいと思います。


以上、『サイクル安打とは? 成立要件やレアケースにはどんなものがある?』でした。

最後までお読みいただきありがとうございました。